世界から孤立するリスクは高まっている
現時点で文氏は、安全保障を米国に頼りつつ、経済面で中国を重視する考えを持ち続けているようだ。近年、中国向けの輸出が韓国経済に与える影響は増している。足許、中国経済は回復している。経済面で対中関係を優先する文氏の姿勢は、短期的には韓国の景気回復を支える可能性がある。それは文氏の支持率にも影響する。
ただし、中長期的な経済と社会の安定を考えると、韓国は日米との関係を重視すべきと考える経済の専門家は多いようだ。半導体や車載バッテリーなどの先端分野で、韓国企業にとって中国企業は顧客から競争上の脅威になりつつある。また、韓国は車載半導体だけでなく、ドル資金、高純度の半導体部材、製造装置の調達で日米などに依存している。
逆に言えば、文氏の近視眼的な損失回避の心理はかなり強いとみられる。今後も為政者が米中のはざまで立場を明確化できないのであれば、中長期的に韓国が世界経済から孤立するリスクは高まるだろう。