最後の蘋果日報は通常の10倍以上の100万部を発行

毎日社説は指摘する。

「国際都市としての香港の信頼は決定的に損なわれた。言論の自由があればこそ、中国と外部を結ぶ情報の窓口として存在感を発揮できた。共産党体制の内実を知る貴重なルートだった」
「国際金融センターの地位も揺らぐ」

前述したが、香港から自由な国際金融都市の姿はなくなり、各国の企業は撤退のスピードアップを図る。香港から自由を奪うことで経済的に大きなダメージを被るのは、中国本土の経済である。潤滑な香港経済があったからこそ、中国の経済は大きく成長した。そこは習近平政権も理解しているはずだ。なのになぜ、香港を悪法でがんじがらめにするのだろうか。

一党独裁国家の頂点に君臨する習近平氏は、自由と民主主義を求めて立ち上がる香港市民が怖いのだ。独裁が民主主義の手で倒されてきたことは、歴史が証明している。習近平氏は独裁者ゆえの自己防衛に走り、自らの地位を維持し、さらには地位の向上を狙っている。

最後に毎日社説は「蘋果日報の危機を知った多数の人が買い求め、最後の新聞は通常の10倍以上となる100万部が発行された。言論の自由を支えようとする香港市民の強い意思表示である」と指摘し、次のように主張する。

「抑圧下にあっても自由の価値を信じる人々を、国際社会は孤立させてはならない」

香港市民は中国政府によって命を奪われることさえある。それにも屈せずに彼らは戦ってきたし、これからも戦う意思を示している。今度は欧米や日本などの民主主義国家で構成する国際社会が、断固として中国の習近平政権の悪業を追及しなければならない。

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「言論封殺は度を越している」「断じて容認できない」と読売社説

読売新聞(6月25日付)の社説は「香港紙の廃刊 言論封殺は度を越している」との見出しでこう書き出す。

「香港の高度な自治を保障した『一国二制度』に基づく報道の自由を力ずくで奪うことは、断じて容認できない」

読売社説が主張するように「断じて容認」してはならない。

読売社説は国家安全維持法(昨年6月施行)について「香港当局は当初、抑制的に運用する方針を強調していたが、最近の乱用ぶりは度を越している」と指摘する。実際国安法の適用範囲は不透明で、何をしたら摘発されるかがよく分からず、そこが香港市民にとって恐怖なのである。