「変な宿題」はいつの間にか成長を促す
そこでやってみたのは古今東西の伝説の面白い宿題や授業の収集と分析。
たとえば、都立中学のあるグレートティーチャーの授業は「隅田川花火大会の翌日、新聞5紙の隅田川花火の記事を配り、何新聞が自分が見た花火を一番描写できているか比べさせる」というもの。面白いでしょう?
その他、中学3年間1冊の本だけを読むという灘中の伝説の授業、日比野克彦さんの生徒の個人的な記憶を引き出すアートの教え方@芸大、黒澤明さんの自伝『蝦蟇の油』(岩波書店)に出てくるハミ出た解答を褒める先生の授業、イタリアの幼稚園レッジョエミリアのワークショップから島津藩の郷中教育まで、たくさん見てみると、自分のストライクゾーンがわかってきました。
それらは、とある映画に出てきた教育法に近いことを発見。アメリカの少年が空手を習いに行くと、車のワックスがけを大量にさせられ、以後連日雑用。空手はいつになったら教えてくれるんだ! とブチ切れた時に、雑用の動きで空手の防御を教えられていたことがわかります。結果、大会で優勝する、というお話。
そう、『ベスト・キッド』です。
「ベスト・キッド」方式でプロジェクト立ち上げ
教えたいテーマがあり、それを体験させて学ばせるために一見関係のない変な課題を出す。テーマは最後まで教えない。これが私が発見した教育方法「ベスト・キッド方式」です。
この方式に則って、クリエーティブに必要な要素(発想力/アイデアを量産する/制約を活かす/リサーチ/自分の尺度を持つ/人と協働するなど)を学ぶための、変な宿題を量産。
さまざまな場所で実践してきました。名付けて「変な宿題」プロジェクト。
学んでほしいことをストレートに出すのではなく、「変」な問題を1つかませ、いつの間にか体験して学んでいる。そこがポイントです。
好奇心に着火する変な問いの数々をいくつかご紹介しましょう。