人を動かすのが上手い人=無意識を操る人
ポイントは、「最後に決めるのはあなたです」と相手の意志を尊重しつつ、こちらの要望も問いかけに含ませているところです。
日本語で使うときのフレーズは「But You Are Free(~ですが、あなたの自由です)」にこだわらず、「あなたにお任せします」「最後は好きなように決めてください」「どう思います?」など、決定権を相手に委ねる方向であれば問題ありません。
人には、自己選択の自由を尊重されると提示された選択肢を試してみたくなる性質が備わっています。
「◯◯をしてくれたらうれしいですけど、でも××もあります。どうぞ、あなたの自由に」と言われると、「◯◯」を実行する、しないにかかわらず、少なくとも一度は「◯◯をする自分」を想像してしまうのです。
こうして相手に想像させることが、その後の自己選択に大きな影響を与えます。
そして、本人が「自分で決めた」と信じていると、決定事項について「重要なことだ」と認識します。
「BYAF法」が強い説得効果を発揮するのは、相手の想像力を呼び起こし、無意識に働きかけ、本人に「自分で決めた」という感覚を強く残すからです。
本稿でこれから紹介していくメソッドも「BYAF法」と同じ仕組みによって、聞き手を動かしていきます。
特に重要視しているのは、相手の無意識をあなたの話に向けさせること。
これがうまくいくと、聞き手は知らず知らずのうちに話し手のメッセージを「重要な選択肢だ」と感じ、自ら選択して決めたことだと認識して、行動した結果に価値を見出してくれるようになります。
「人に物を教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ」
これは天文学の父と呼ばれるガリレオ・ガリレイが教え子たちに残した言葉ですが、人を動かすのがうまい人は、すなわち無意識を動かすのがうまい人なのです。
ポイント