人を動かすためには、どのような伝え方をすれば良いか。メンタリストDaiGo氏は「きちんと言葉を尽くしても人は動かない。説得ではなく、無意識に働きかける『魔法の言葉』がある」という——。

※本稿は、メンタリストDaiGo『超影響力』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

会議室で話すビジネスマン
写真=iStock.com/Robert Daly
※写真はイメージです

「説明」と「納得」では人は動かない

説得力、影響力に関して多くの人が誤解していることがあります。

・言葉を尽くして説明し、失礼のないように接したら相手もわかってくる
・論理的に話し、相手の質問に答えていけば、必ず納得してくれる
・よく理解していれば、わかりやすく説明できる

こうした例でよく見る、「きちんと話せば、人は動く」という観念についてです。

たしかに、世の中は表面上、説明と納得でロジカルに動いているように見えます。

たとえば、後輩が仕事の書類作成でミスをしたとき、気づいたあなたがその場で指摘し、わかりやすい説明でやり方を教えてあげれば、相手は納得して書き直してくれるでしょう。

あるいは、あなたが買った商品に初期不良があり、カスタマーサービスに連絡をすれば、返品交換や修理に応じてもらうことができます。

しかし、こうした場面で「きちんと話せば人は動く」が機能するのは、仕事上のルール、商売上のルールがあってこそのこと。

後輩もカスタマーサービスの担当者も「働く人」という役割を担っているから、きちんとした理由があれば、納得して動いてくれるのです。

ところが、一旦「公」の役割という着ぐるみを脱ぎ、より本音がぶつかり合う場面や利害関係が一致しない状況に置かれたら、人はきちんと話しただけでは、動いてくれません。

「説明」と「納得」よりも、「感情」と「思い込み」が優位に立つからです。

これは「信用」と「関係性」の土台を築いた相手が聞き手だったとしても変わりません。

では、人を動かしたいと望む話し手は、どうアプローチをしていけばいいのでしょうか?

本稿では、「無意識を操る」をキーワードに1対1、1対多のどちらでも通じる聞き手への説得力、影響力を高める方法を解説していきます。

相手の判断が「感情」と「思い込み」に左右されるなら、一歩先周りして、聞き手が従う「感情」と「思い込み」をあなたの望む方向に塗り替えていけばいいのです。