若者の投資へのネガティブなイメージを払拭するためには?

では、どうして、投資は怖いというイメージがこれだけ根強いのか。その理由として、主に次の2つが考えられる。

① 投資に関する正しい知識や理解の不足

すでに述べたが、投資は怖いというイメージの悪さは、正しく投資を理解していないことに起因する可能性が大きい。前掲の2回目のアンケートでは、投資に関する基本的な知識を学んだことで、「投資は怖いイメージがある」と回答した人が1回目よりも減少(Q5)。さらに授業を受けて、投資へのイメージが改善した人が8割以上もいる(Q6)。

アンケートのコメント欄にも「自分もできるのではないかと自信が持てた」「投資には多くのお金が必要だと思っていたが、少額からでも始められると知った」「これまで興味がなかったが、投資をしてみたくなった」など、ポジティブな内容が多く寄せられた。

アンケートの結果、ライフプランに応じた継続的な投資教育は欠かせないということがわかった。

② 成功体験のなさ

もともと投資にネガティブなイメージを持っている学生が多かった背景には投資の成功体験のなさもある。とりわけ、周囲の大人の成功体験の有無が大きく影響しているのではないか。

学生の段階ですでに投資を経験し、「仮想通貨(暗号資産)で大損した」「FXで失敗した」という人もいるが、両親や兄弟、祖父母、親戚など、周囲の大人が投資をやっていたり、失敗したりしたのを見て、「投資は怖い」「あんなふうにはなりなくない」と感じている学生が少なくなかった。

そもそも、投資経験のある親世代が少ないこともある。

今の大学生の親世代なら、筆者と同じ50代が多いだろうが、日本銀行の預金種類別の店頭表示金利の平均年利率等のデータによると30年以上前の1990年9月時点の定期預金(2年もの)は金利6.33%、3カ月ものでも4.08%もあった。

わざわざリスクを取って、投資をしなくても、元本保証のある定期預金や貯蓄性保険で、今よりも格段に高いリターンが得られたのである。

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一方、親世代には投資にチャレンジした層もいる。だが、彼らの中にはバブル崩壊やリーマンショックなどで投資に失敗し、「もう投資はこりごり」といったイメージを持つ人も多いに違いない。

「投資経験がない」「成功体験がない」親を見て育った若年層が投資に消極的なのはムリもないだろう。

しかし、国が推奨するまでもなく、医療の進化などによる「長生きリスク」(長生きはめでたいが、ライフコストもかかる)を踏まえると、自助努力としての資産形成の重要性はより高まってくる。若年層はそうした意識を強く持つべきだろう。