投資教育をしても投資への意欲は高まらなかった⁉

そして、授業後に行った2回目のアンケートの質問内容と結果は、次の通りである(詳細は文末の【図表2】参照)。

わずかながらも、授業の合間の1カ月の間に実際に投資を始めた人がいたのには驚いた(Q1)。ただ、そのきっかけが筆者の授業の成果でなかったのは残念だが……(Q2)。

そして、最も気になるのは、投資教育がもたらす投資の意欲への影響である(Q3)。筆者の予想では、授業を受ける前よりも、投資への意欲は飛躍的に増すはずである。

成長著しい上昇矢印を手に持つ男の子
写真=iStock.com/RichVintage
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しかも、実は、筆者の講義だけでなく、授業の最終日には、ウェルスナビの執行役員および広報担当の方を特別ゲストとしてお招きし、大学生と投資、金融業界に関するトークセッションも行っている。

ウェルスナビは、預かり資産・運用者数No.1ロボアドバイザー「WealthNavi」を提供する会社で、2016年7月の正式リリースから、わずか約4年10カ月で、預かり資産4500億円(2021年5月28日時点)を超えるなど、着実に利用者を増やしている。

2021年2月からは「おまかせNISA」の提供を開始するなど、利便性やサービスも向上。筆者がその動向を注目している金融機関の一つだ。

学生にとっても、実際に、金融機関に勤務して投資に携わる社会人のリアルな話を聞く機会は少なく、授業に参加していただけたのは、非常に有意義だったと思う。

さて、これだけやれば、さぞかし学生の投資意欲も高まっただろう。と思いきや、残念ながら、結果はほとんど変わらなかった。

1回目のアンケートとほぼ同じく、「投資をしてみたいか」という質問に対して、3割近くの学生は、「いいえ」と回答した。この結果では、投資教育をしても速やかな投資への行動変容には必ずしもつながらないということになる。

そうした中、筆者が注目した点が2つある。

1つ目は、Q3で「はい」と回答した学生にその理由を尋ねたところ、「将来のライフプランや老後などに備えて、投資が必要だと思うから」が最も多かったこと。授業によって、単にリターンを追求するために投資をやるのではなく、将来の資産形成のために、投資を行う重要性が理解できたということだろう。

2つ目は、Q3で「いいえ」と回答した学生の投資をしたくない理由のうち、1回目で最も多かった「投資に関する知識がない」が大きく減少し、2回目では「投資をする経済的な余裕がない」が最も多かったことである。つまり今回、投資をしたくないという学生も、社会人になって自分で稼げるようになれば投資をする可能性があることだろう。