仮想通貨(暗号資産)やFXで大損した学生も少なくない
一方、アンケートでは、投資に対してこちらが驚くほど前向きな学生もいた。ただ、「FXで大きく儲けたい」「つみたてNISAでは大きく儲からないと聞いている」と前のめりすぎの傾向もあり、一部には「投資」と「投機」を混同しているようなコメントさえあった。
投資と投機の違いについてはいろいろな考え方があるが、将来の資本を増やすために、今ある資本を投下するのが「投資」。機会(チャンス)を狙った売買によって、収益をあげることが「投機」と考えるとわかりやすい。
そのため、前者は中長期にわたった運用、後者は短期的かつ機動的な売買が中心となる。つまり、投資と投機は別物だということを肝に銘じておくべきなのだが、昨今の「“人生100年時代”こそ投資は必須」というムードに煽られた結果、仮想通貨(暗号資産)やFXで大損した学生の話も耳にすることは一度や二度ではない。
サークルの先輩に勧められたり、儲かっている友人の成功話につられたりするケースが多いが、投資の「基本」を知らずに見切り発車するのは、路上教習も受けないまま、いきなり高速道路に飛び出すようなものである。羊頭狗肉で、笑顔で手ぐすね引いて待つ悪い人々はいつの時代もいるので、そうした人のいいカモになってはいけない。
つまり、ここでポイントとなるのは金融業者側の姿勢だ。金融知識がまだ乏しい若者に対して、投資と投機を混同させないような“真に”顧客本位の業務運営が望まれる。
投資ビギナーにとって、投資を始める「第一歩」に、どの金融機関で、どんな金融商品を選ぶかが、投資人生を左右する大きなポイントとなるのは確かだ。
つまり、アセット・ロケーション(資産の置き場所)とアセット・アロケーション(資産配分)をどうするか。この2つを最適化するには、「一般・つみたてNISA」や「iDeCo」などを活用するのが王道だが、それでも、商品選びを難しく感じる人は多い。
そこで最後にもう一度、金融機関へのお願いというか、提案である。是非とも、若年層の投資ビギナーが「投資をしたい」と思えるような魅力ある金融商品(長期・積立・分散・低コスト)やサービスを提供してほしい。
良質な金融商品が増えれば、学生を含めた投資家も増えて、金融機関は潤う。投資家の目が肥えれば、より良い金融商品を作らねば売れないので、金融機関は企業努力に励む。いささか「卵が先か、鶏が先か」的な思考になってきたが、まずは将来の投資家を育てるという意識を金融機関が持つべきだ。