生活防衛のために「貯金」よりも「投資」を選ぶ時代に?

まずは、生活防衛の手段として投資を始めた人々がどれくらいいるのか見てみよう。

マネーフォワードが実施した「コロナ禍の個人の家計実態調査2021」によると、生活防衛の意識の変化については、「生活防衛の意識が高まった(やや高まった)」と回答した人は82%。このうち生活防衛のために「投資を始めた」人が19%、「投資資金を増やした」人が32%と、51%の人が投資への行動を起こしている。

万が一のためといえば、これまでの日本人なら、真っ先に「貯金」を思い浮かべそうなものだ。しかし、同調査では、生活防衛策として、「貯金を始めた」人は10%、「貯金額を増やした」人は29%と、4割弱にとどまっている。

この調査の対象者は、同社の家計簿アプリ「マネーフォワード ME」の利用者であることから、家計に対するリテラシーも高めの人が多い可能性もある。加えて、最近の株高が投資を後押ししている面もあるだろう。とはいえ、コロナ禍では、貯金よりも、投資を選ぶ人が多いという結果になっているのは興味深い。

また、具体的な商品としては、約7割以上がNISAやつみたてNISAを利用。このほか、iDeCo(個人型)や企業型の確定拠出年金の利用者も2割以上いる。しっかり、税制優遇が受けられる制度を選び、中長期で資産を殖やそうという意識が高まっているようだ。

生活防衛のために、投資を始めたり投資にまわす資金を増やしましたか?(n=3216)
「生活防衛のために投資を始めた人」が行っている投資(n=595)
※出所:株式会社マネーフォワード「コロナ禍の家計実態調査
実施時期:2021年1月29日(金)~1月31日(日)
調査対象:お金の見える化サービス『マネーフォワード ME』利用者3957人
調査手法:インターネットを利用したアンケート調査

大学生への投資アンケートでは9割以上が投資未経験

続いて、筆者が実施した大学生への投資アンケートの結果を紹介しよう。

アンケートの目的は、第一に、大学生の投資への意識や実態を把握すること。第二に、投資教育が、投資の意欲や行動変容にどれだけ影響を与えるか確認することの2つである。

そのため、アンケートは、授業を行う前に1回目を実施。金融や経済、金融商品、ポートフォリオ運用などの投資に関わる授業(90分×4回)を行った後に2回目を実施した。

まず、授業前の1回目のアンケートの質問内容と結果は次の通りである(詳細は文末の【アンケート結果】参照)。

予想通り、9割以上の学生が投資未経験者(Q1)だった。投資をしない理由(Q2)で最も多かったのは「投資に関する知識がない」で、それに「投資をする経済的な余裕がない」が続く。しかし、投資への意向(Q3)を聞くと、「投資をやってみたい」人が7割以上いた。