国民はメダルラッシュに沸き立ち、世論が変わる

日本がメダルラッシュともなれば、世間のムードは簡単に変わる。テレビでは、日本人選手が金メダルを獲得するたびに速報が出て、その夜のニュース番組のスポーツコーナーで選手を称える映像が大量に流れるだろう。スタジオのキャスターや解説者は大興奮。選手も生中継のインタビューで番組から番組をハシゴし、ツイッターは喜びと祝福の声だらけになる。

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一方、そんなお祝いムードを横目に、反対派は押し黙るしかない。あるいは、反対派の伝家の宝刀がまた抜かれるのだろう。「日本がすごいのではない。努力をした○○選手がすごいだけなのだ!」という、いつものアレだ。そして、菅義偉首相が電話で選手に祝意を伝えたりしようものなら、「スポーツの政治利用はけしからん!」「低迷する支持率を上げるため、コロナ対策の無策を隠蔽するために選手を利用するな!」などと食ってかかる姿が目に浮かぶ。

これらの発言は、今回に限らず五輪のたびにネットに書き込まれる定型句だ。とにかく彼ら──今回、反対派に回っているような、理知的を気取ったウルサがたの連中──は、国別対抗形式の五輪で日本選手が大活躍したことを国民が率直に喜んだり、与党の政治家が祝意を表明したりすると、こうして水を差してくる。もうさ、キミたちは邪魔なだけだから、スポーツに口出ししないでくれないかな。

多くのメディアが節操なく手のひら返しする

さらに指摘しておきたいことがある。メディアの節操のなさについて、だ。

これまで、あの手この手で五輪に反対してきたメディアの連中は、一体どのツラ下げて金メダル獲得を報じるのだろうか。恐らくクルリと、180度の手のひら返しをして「見事だ!」「感動をありがとう!」「震えた!」などと騒ぎ立てることが目に見えている。だが、十中八九「五輪反対派メディアの華麗なる手のひら返しをご覧くださいwww」といったまとめがネットに登場し、開催前の報道と金メダルラッシュ後の論調の差が比較されるだろう。

そう、1995年、「日本人がMLBで活躍できるわけがない」と野茂英雄をコキおろしたメディア(あえて名前は挙げない)が、過去の自分たちの発言を「なかったこと」にして、その後は褒めそやす論調へと変節したように。付け加えておくと、このメディアは2001年、MLB初の日本人野手として海を渡ったイチローについて「日本人投手は成功したが、野手は無理」とイチローをコキおろし、その後、同じ道を辿った。五輪でも、これと似たようなことが起きるのである。