五輪開催を曲げないIOCは冷静

ただ、私のように「新型コロナはそこまで恐ろしいウイルスではない。なにしろ若者がほぼ死なないのだから」という考えを昨年5月以来、一貫して抱き続けている人間からすれば、IOCコーツ副会長の「緊急事態下でも東京五輪を開催する」発言は極めて合理的であり、なにも違和感をおぼえない。

緊急事態宣言新聞
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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それどころか「あぁ、海外から冷静な目で見れば、日本の状態は『ヤバくない』のだな」と励まされたくらいだ。しかし、メディアやSNSで発言する人の多くは「コーツ発言、けしからん!」で一致している。

コーツ氏のこの発言には、「IOCは東京五輪の中止・延期を選択肢に加えるつもりはない」という強い意志が込められているだろう。よって、反対派がなにを言おうと、このまま開催に至る可能性が高まったと私は見ている。

五輪開催後の未来予想図とは

そこでがぜん興味が湧くのが、反対派の今後の言動である。彼らがどんな反応をするか、軽く予想してみよう。

真っ先に想像できる未来は、これだ。

「日本選手が金メダルを取っても、素直に喜ぶことができない」

これまでさんざん「中止せよ!」「スポーツに浮かれていられるような状況じゃないだろ!」と叫んでいたのだから仕方ない。過去に自分が残した発言を呪うしかないだろう。世間の祝勝ムードに流されて「やった! おめでとう○○選手!」「素晴らしい試合だった!」なんてSNSなどで発言しようものなら、「アンタ、五輪に反対してたよな?」と嘲笑されるのは間違いない。

もうひとつ考えられるのは、会期中、反対派が血眼になって粗探しをする状況だ。とにかく悪いことが起きるのを期待するのである。いや、反対派はすでに、悪い材料を探すことを一番の目標にしているフシすらある。

それこそ以下のような状況が生じたとなれば、自身が唱えてきた反対論が補強されるので、「ほれ見たことか! 私はずっと危険性を訴えてきた」と大騒ぎすることだろう。

・選手村でクラスター発生。
・これまで日本に存在していなかった、外国の変異株(その国がアフリカや中東だと、なおよし)が発見される。
・東京の陽性者数が1日1000人を超える。
・外国人の陽性者対応で医療施設が逼迫、言葉の問題も発生して大混乱に。

そして、お決まりの「政府は人命を軽視している」論に繋げていくわけだ。