アメリカが「50%の削減目標」をぶち上げられたワケ
4月22日に開催された気候変動サミットで示されたような地球温暖化を抑えるための高い目標には、ここ10年間で起きたグリーンエネルギーの生産コストの低下が非常に大きな意味をもっています。そして中国、アメリカ、欧州といった地域に比べると実は日本はグリーンエネルギーの生産コスト面で劣位にある。このことがこれから先の日本経済に大きな負担を生む可能性があるのです。
中国がゴビ砂漠という資源を持っているのと同じように、アメリカも非常に広い面積の砂漠を持っています。今回バイデン大統領が50%の削減目標をぶち上げましたが、その国土の特性を生かせば、目標達成は決して不可能な数字ではない。ここが中国とアメリカの有利な点です。
では欧州はどうなのかというと、風が強いというヨーロッパ大陸の特徴があります。ゴルフの全英オープンを見ると風がびゅんびゅん吹いていることがわかるように、特にイギリスは風資源に関しては有利な国です。実際にそれを利用してグレートブリテン島の東側、遠浅の海上に広大な面積の風力発電所を建設しています。
わたしたちは生活を変えていく必要がある
このように意欲的な温室効果ガス削減目標を掲げている国々と比較して、実は日本は砂漠も海上風力も資源としては乏しいというハンディキャップがあります。そのハンディを踏まえたうえで今回、菅総理が46%削減をぶち上げたという事実が、この先、日本企業にとって大きな影響を与えると考えられるのです。
それでも地球温暖化を止め持続的な成長を続けるために世界各国の企業が削減目標に取り組むことは必須です。実際に効力がある施策を選びながら、電球はLED電球に取り替え、プラスチックのストローを紙製のストローに替え、プラスチック製のショッピングバッグは有料化する。ペットボトルもアルミ缶も水平リサイクルを追求して、1個から2~3個が生まれるように頑張っていく。コストは上がりますが、それでも持続的な明日をめざしてわたしたちは生活を変えていく必要があるのです。
つまり今回の良品計画のアルミ缶への変更計画は、このように全体像を見ていくと、私たちの未来計画でもあることがわかるという話だったのです。