世界的な債券安の中で人気を集める環境債

欧州を中心に「環境債(グリーンボンド)」と呼ばれる金融商品を発行する流れが強まっている。環境債とは、環境対策ないしは環境改善に資するプロジェクトのための資金を調達する目的で発行される債券であり、2007年に欧州連合(EU)の開発銀行である欧州投資銀行(EIB)が発行した債券や翌2008年に世界銀行が発行した債券などを源流とするものだ。

ベルギー・ブリュッセルの国会議事堂前に立てられた欧州連合旗
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その後は政府系金融機関を中心に発行が増えたが、いわゆるSDGsの観点から環境対策の必要性が叫ばれるようになったことを受けて、企業や政府にもそうした流れが広がるようになった。投資家の人気も高く、3月初めにはイタリア政府が初の環境債を発行、85億ユーロ(約1.1兆円)の募集額に対して800億ユーロ以上の需要を集めた。

投資家は環境債への投資を通じて、資金面から環境改善を支援することができる。つまり、機関投資家にとっては社会的責任(CSR)を果たすことにつながり、それがまた機関投資家の企業価値の向上をもたらす。そのため機関投資家は環境債の購入に積極的となっており、それがイタリアのケースで見られるような強い需要に現れている。

年明け以降、世界の長期金利は米金利の上昇にけん引される形で上昇が続いている。つまり国債を中心に債券の需要は低迷しているわけだが、そうした軟調な相場環境にもかかわらず、イタリア政府が発行した環境債は強い需要を集めた。それだけ環境債は、投資側にとっても魅力度が極めて高い金融商品ということができるだろう。