Uber Eatsはお見舞いに行くべきだ
一例を挙げよう。この数年、Uber Eatsの配達人が自転車で配達中に歩行者をはねてケガを負わせるといったニュースをよく耳にする。Uber Eats側から言わせれば、配達人は個人事業主であり、会社には責任がないということで、Uber Eats側が謝罪をすることは一切ない。
これはたしかに法律論としては正しい。しかし、普通の感覚として、Uber Eatsを代表した会社の人間が菓子折りの1つも持ってケガをした人を一度くらいはお見舞いに行くべきだろう、というのが人情大人の常識であり、誠意というものだ。
相手の心情に寄り添った対応をするだけで会社に対する世間の見方は大きく変わるし、ケガをした人の気持ちもずいぶんと救われることになるはずだ。
リーダーの謝罪も同様である。チームメンバーが起こした問題についてまったくあずかり知らなかったとしても、「俺は関係ない」と言うことは許されない。こうした状況下で「私の責任です」と公言し、頭を下げるという「名演技」ができてこそ、一流のリーダーだ。
「申し訳ありません」を言ってはいけない
ただし、頭を下げるとか謝ることは必要でも、その場合の「言葉遣い」には細心の注意を払う必要がある。
たとえば、Uber Eatsの担当者がケガをした人のもとを訪ね、菓子折りなどを渡して謝るのはいいが、その際、「この度は大変申し訳ありませんでした。今後につきましてはご意向に応じて、弊社として誠心誠意対応させていただきます」とまで言ってしまうと、どうなるか。場合によっては膨大な賠償金を求められるかもしれない。
この場合は、お見舞いに行ったうえで、「この度は、お見舞い申し上げます。本件に関して、事故に遭われて、お気の毒に思っております」と言うくらいが適切だろう。「大変、申し訳ありませんでした」とまで言うのとは大きな違いがある。こういう重大クレームの場面で、どの程度の対応が、ちょうど良いバランスなのか? の判断は場数が問われる。リーダーは「名演技」だけでなく、「言うべきセリフ」の細部にまで心を配ることが重要だ。