成果がなければ、モチベーションは上がらない

次にもうひとつの勘違い、「モチベーションが高いと成果が出る」についてです。

「部下がやる気を持って仕事に取り組んでくれなくて、成果が出ないんです……」と感じている人は多いかもしれません。

「モチベーションが高い=成果が出やすい」というのは一見正しい論理に聞こえるかもしれません。モチベーションが低い→適切な行動をしない→成果が出ない、という認識をされているのです。

しかし、この考えは間違っています。正しい因果関係は、シンプルにすると次の形になります。

成果が出る→楽しくなる→モチベーションが上がる

先ほどの認識と真逆ですが、これが真理だと思います。

結果が出るからモチベーションが高まる

要するに、マネジャーがどんなに声かけをしてチームのメンバーのモチベーションを上げたように思えたとしても、それが成果に結びつかなければ、そのモチベーションは続きません。むしろ、うまくいかないことが続けば、自分自身の能力を疑ったり、会社を離脱したりすることも起こり得るでしょう。

逆に、成果が出続けていれば、少なくともそれでメンバーのモチベーションが下がっていくことはありません。

多くの人は、モチベーションが高くなると結果が出るという方程式で考えるため、モチベーションを上げようと努力します。しかし、実際には結果が出続けるから、メンバーのモチベーションが保たれます。考え方がまったく逆なのです。

たとえば出版社の書籍編集者なら、手がけた書籍が10冊連続で数千部しか売れなかったらかなりえるでしょう。「もう(編集者を)やめようかな」と思うかもしれません。逆に、毎回何万部も売れれば、モチベーションが続くはずです。

結局、どれだけ好きな仕事で、やりがいを持って働いていたとしても、結果が出なければモチベーションは保てないのです。

マネジャーは成果の出し方を教え、サポートする

マネジャーはモチベーションを上げようとするのではなく、成果の出し方を教え、サポートするほうがよほど部下のためになります

実際、私はメンバーのモチベーションなど気にしたことがありません。

とくにプライベートな理由でモチベーションが下がっていても、他人はそこまで介入できませんし、介入する必要もありません。マネジャーは親でもなんでもありませんので、自分で解決しなさいという話です。

一時期流行ったアドラー心理学では、他者の問題と自分の問題を分けて考えます。他者の問題はコントロールできないので介入しない。それが正解だと思います。