殺菌温度で栄養素は変わらないけれど

また、パッケージの「乳脂肪分」や「無脂乳固形分」の数値を見れば“濃さ”の見当がつく。

「乳脂肪分の項に3.8%と記載されていたり、3.8牛乳という名称の牛乳は、牛乳100グラム中に3.8グラムの乳脂肪分が含まれるという意味です」(望月さん)

無脂乳固形分とは、牛乳から水分と乳脂肪分を除いたタンパク質や糖質、ビタミン、ミネラルなどの成分を指す。「栄養だけでなく、風味にも影響を与える成分」と覚えておこう。

温めても栄養素の減少や吸収の悪化はない

ミルク料理研究家で管理栄養士の奥泉明子さんは「味は年間を通して変化します」と話す。実は、冬のほうが牛乳に多くの乳脂肪分が含まれるのだ。

「夏場は牛も水分を取りますから薄くなり、冬は濃くなります。牛は本来、寒い地域に生息する動物なので、冬は元気なんですよ。今の季節はおいしい牛乳といえますね」

「殺菌温度」も風味に影響を与える。

「牛乳の後味、どろっとしているのが残るのが嫌な人は、低温殺菌牛乳を選ぶといいでしょう。超高温殺菌牛乳と比べて、70~80度で殺菌した牛乳のほうがさっぱり飲めます。ただ高温加熱だからといって栄養価や吸収率は一切変わりません」(奥泉さん)

そう、ここを強調しておきたいのだが、牛乳は熱に弱いビタミンCが含まれていないため、温めても栄養素が減ったり吸収が悪くなるようなことはない。殺菌方法によっても栄養素に違いが出ることはないのだ。ただし、生卵がゆで卵に変わるように、加熱殺菌によって牛乳に含まれるタンパク質が変性するため、殺菌方法によって風味が変わりやすい。