暮らしの在り方としても、別荘のような「セカンドハウス」としての暮らし方、週末や休日のみ郊外や地方の拠点で滞在する暮らし方、一定期間その土地で生活する暮らし方など、その人の働き方や家族に合わせた暮らし方が柔軟に選べるようになった世の中の流れが、注目を浴びる要因にもなっているのだ。
また、セカンドハウスは買う・売る・借りる・貸す・泊まる・泊めるなど不動産活用の多様化によって、投資にも有効だ。
密や対面を避ける中で進む、不動産業界のオンライン化
船井総合研究所賃貸支援部コンサルタント松井哲也氏によると、コロナ禍で賃貸不動産のビジネスモデルも大きく転換しているという。
「わざわざ来店しなくとも、オンライン上で接客、案内、契約などのすべての業務を進めるオンライン賃貸の動きが出てきました。来店のほとんどをオンラインで済ませる『専門店』もでてきているほどです。こうした店舗では、あえてリアルな来店、接客、案内はしません。さらに地域を限らないので、遠隔地のお客様を多く取り込み、効率的に売り上げを上げています。こうしたスタイルが、今後ますます増えていくでしょう」
空いた事務所、店舗などを活用し、テイクアウト専門レストランや、リモートワーク部屋などへの活用している業態も生まれてきている。
そして、コロナに左右されず、安定的に収益を確保する上で押さえておきたいのが、高齢者賃貸の需要が高まりだという。
「団塊世代が70代をむかえ、高齢者、後期高齢者層が、急増加してきています。夫婦、単身で郊外の大きな持家を所有して住んでいたが、病院や家族の近い地区での、住みやすい高齢者専門賃貸に住む動きも加速しています。高齢者の住まいを扱うビジネスも進化してきており、単なる高齢者賃貸の仲介だけでなく、老人ホームの紹介、身元保証人代行ビジネスも増えてきました。また当然高齢者ですので、今後の不動産を活用した相続対策も出てきています。
「今まで大量に入国していた外国人が、コロナにより一気に減ってしまった事で、外国人用に用意された賃貸物件、また民泊や短期賃貸物件の空室が問題化されてきて、その物件を高齢者賃貸として転用しようとする動きもあります」
コロナ禍において、賃貸不動産の動向は大きく変わってきている。こういった新たなニーズの胎動をいち早く察知し投資や商品化へと繋げられた企業がアフターコロナの不動産業界を制する。需要と供給側の両面で大きな構造変化が起こりそうだ。