「法の番人」、憧れを感じますか?

いかがでしょうか? 憧れを感じますか? 想像していたものとはかなり異なっていませんか?

瀬木比呂志『檻の中の裁判官 なぜ正義を全うできないのか』(角川新書)

欧米との大きな違いとしては、書面読みの時間が長いこと、全体として画一的な仕事・生活という印象が強いこと、外の世界との隔離、そして、このことと関連するが、一般市民としての普通の生活や楽しみには乏しいことなどが挙げられるだろう。

たとえば、アメリカの裁判官などは、法曹一元制度(前記のとおり、相当の期間弁護士等の在野の法律家を務めた者の中から裁判官を選任する制度)がとられているため、法廷を出れば、友人知人である弁護士たちと気軽にあいさつし、同輩として交わる。また、「一般市民としての普通の生活や楽しみがない」などというのはアメリカ人には到底耐えがたいことだから、普通の市民が楽しめることは大いに楽しむ。

実際、「裁判官も法廷を出れば一市民」というのは、今ではもうアメリカに限らない世界標準になっている考え方だと思う。また、そうでなければ、一般市民と同じ視線を共有しながら彼らの紛争を裁くことも、できにくいのである。

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