孫さんは、全員のプレゼンを猛烈にメモを取りながら聞いていた
10年ほど前、ソフトバンクアカデミアというところで孫正義さん相手に何度かプレゼンをしたことがある。
参加者がテーマを与えられてプレゼンテーションの腕を競い合う。勝ち上がっていくと、孫さんの前でプレゼンを披露できる。
最初のうちは緊張してそれどころじゃなかったけれど、何度か孫さんの前に立つうちに、だんだん慣れてきた。
すると、聞いている孫さんの様子を見る余裕が出てくる。
孫さんは、僕を含め、20人ほどの参加者全員のプレゼンを、iPadに指を使って猛烈にメモをとりながら、真剣に聞いていた。
あくまでもアイデアのプレゼンテーションで、仕事ではないから、こっちはかなり自由な――まあ、ある意味でいい加減なことも言っている。それを、こんなに真剣に聞かれるとは思ってもいなかった。
これが「謙虚」ということなのだ
それだけでなく、孫さんは後から僕に、「伊藤くん、今言ってたこのことなんだけど、どういうこと?」と質問までしてくる。これには驚かされた。
当然ながら、孫さんは僕らがアクセスできないような情報をいっぱい知っている。経験も僕らとは比較にならないほど豊富だ。
それでも、孫さんは、世間的に見ればぜんぜん「すごくない」参加者たちのプレゼンを必死に聞いて、メモをとって、質問する。
これが「謙虚」ということなのだなと。
人から学ぶことは重要だ。人の話を聴くことは大切だと、僕は改めて感じた。
あなたは、人の話を聴くとき、どんな姿勢で聞いているだろうか?
相手によって、聞く姿勢が違うかもしれない。
だとしたら、どんな相手の話なら熱心に聞いて、どんな相手の話を聞き流しているだろうか。
あなたの「聞く姿勢」を、もう一度見直してみよう。