夕食は……すき焼きより、しゃぶしゃぶ

夏でも、冬でも、私はよくしゃぶしゃぶをつくりますし、「鍋物」といわれたら「しゃぶしゃぶ」といいます。

材料は切るだけ。出汁も、化学調味料無添加のかつおや、あご、昆布などがブレンドされたパックがありますし、簡単でシンプルに素材感を味わうことができるメニューのひとつです。

野菜とタンパク質がメインで、お肉でもお魚でも、つけダレを変えれば同じ料理法で何通りもの工夫ができます。

それにくらべてすき焼きは、割り下といわれるタレに白砂糖がたっぷり入っていることで、急激に血糖値を上げその反動で、急激に下がります。その結果、食欲が増しご飯が進みます。夕飯に美味しいすき焼きは、内蔵蓄積の原因にあるので、注意が必要ですね。

ただ、私も好きなメニューですから、家でつくる場合は、白砂糖を使わず、ラカンカなど、血糖やカロリーに影響ない割り下をつくります。外食はそうはいきませんが、ご家庭では大切な方のために、下ごしらえから考えてくださいね。

しかし、すき焼きにはすき焼きで、とても理にかなった食べ方があります。

お野菜から先に食べるのはもちろんですが、すべての食材を割り下にからめたあと、生卵で食べることがとてもすばらしいのです。

卵のレシチンは天然の乳化剤として、食べた脂質の消化を助け、脂肪肝などの人には、肝臓の脂肪を排泄してくれる働きを持っている栄養素です。

すき焼きでお肉をたっぷり食べたい方には、そんな理由からも、糖質を注意したすき焼きならOKです。

いまは「塩すき焼き」をつくってくれるお店もあり、これもまたイケルのです。

その応用として、しゃぶしゃぶのポン酢ダレにも生卵を入れて、卵タレで食べるのが、いちばん簡単な脳食です。

疲労回復をめざしたいときは、豚肉でビタミンB1を味方につけて。

また、貧血の方や、アルコールを飲む時は牛肉を選ぶといいでしょう。

牛肉は亜鉛やビタミンB12が豊富で、血液をつくる材料になります。アルコールの代謝にはB12が使われますが、これが不足すると脳神経や細い血管に血液がいきにくくなります。手足の先が冷たい、ときどきイライラしたり貧血傾向にあるという女性はとくに、牛肉を選ぶのがかしこい選択です。

夕食を適切にとれば、朝の目覚めがすっきりする

ほかにも、動物性タンパク質とお野菜が豊富なちゃんこ鍋や、牡蠣鍋などもいいですね。鍋物は、炭水化物が最後に少しだけのところも外せないポイントです。

野菜やタンパク質でお腹を満たしたあとの締めのおじやや麺などは、ほんとうに少ない炭水化物ですみますから、心も身体も満たされる感じがあふれます。

もちろん、ステーキやグリルしたポークをサラダファーストで食べるのも大賛成です。このときの注意は付け合わせです。ポテトフライではなく、きのこなどを。マッシュポテトではなく、ほうれん草など緑黄食野菜のソテーを。

外食でも、このリクエストはけっこう聞いてくれますので、メインが決まったら、組み合わせも考えてみてください。

夜、お酒やごはん、付け合わせに糖質を摂りすぎないことで、朝の目覚めがすっきりすることを体感できると思います。

夕食の目的は、眠りの質をよくして、疲れを持ち越さないことです。

動物性タンパク質がリッチな夕食は、睡眠ホルモンの材料であるトリプトファンを含んでいますから、眠りの浅い方には必須です。

また、寝ている間に、未来の胃腸の粘膜や細胞の材料になってくれますから、「明日は何時に起きて……」などと考えるより、仕事に応じて食事内容を考えるほうが、実際に明日の活力になってくれると思います。

仕事、学業、プライベートで楽しくパフォーマンスをあげるのに、毎日の夕食はとても大切です。