「ほぼ外れない」買い物ができる仕組み

メジャーなECサイトには、すでに誰かがその商品のレビューを書き込んでくれている。

1つや2つの口コミでは安心できないかもしれないが、多くの人が満足しているのであれば、「おそらく大丈夫な商品だろう」と、最初の購入を決断できる。100%失敗しないとは言い切れないが、「ほぼ外れない」ので、多くのユーザーがレビューを参考に買い物を続けているのである。

商品が届いて、実際に使ってみて、自分もその商品に満足すれば、「もう1台を家族用に」といった形で、習慣買いのパターンに入る。モバイルバッテリーだと数回止まりかもしれないが、これが日用品になると、10回、20回とさらに習慣化が進んでいく。

Amazonや楽天の強みは、このように1回目に「ほぼ外れない」買い物ができるという点だ。

もし今、同様のサイトが新しく立ち上がっても、レビュー情報の蓄積がないので、老舗の両サイトに追いつくのは簡単ではないだろう。人は「失敗しない買い物の場」を求めているのである。

ギフトに強い楽天と日用品に強いアマゾン

では、このAmazonと楽天を比べてみた場合、それぞれはどのように差別化されているのか。それは、「習慣になりやすいかどうか」である。

望月智之『買い物ゼロ秒時代の未来地図 2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉』(クロスメディア・パブリッシング)

先ほどの図表2でもわかる通り、Amazonや楽天は「目的系」の買い物に位置している。習慣という軸で見ると、「1回目の買い物」においては楽天の便利さが特徴的で、「2回目以降」はAmazonの買いやすさを好む生活者が多い。

それはまさに、両者の特徴としてよく言われている「ギフトに強い楽天」と「日用品に強いAmazon」の違いである。

楽天は1回目の買い物により強い仕組み、Amazonは2回目以降の買い物により強い仕組みとなっている。Amazonはとにかく買い物の面倒を減らすために、プロセスをどんどん自動化している。だから使いやすいのだ。一方の楽天は商品情報を豊富に載せることができ、店舗による特典も多く、1回目の客にも買いやすくなっているのである。

これは両社の特性の違いであり、どちらが優れているという話ではない。日常の買い物を指しているのであれば、Amazonのほうがしやすいだろう。ギフトなど、非日常の商品を探すのであれば、楽天のほうが見つかりやすいだろう。

関連記事
富裕層は「スマホ」と「コーヒー」に目もくれない
「三越伊勢丹の"余命"はあと2年強」経済アナリストが試算する百貨店4社の末路
「スマホ充電が1年不要に」打倒GAFAを狙うNTTの光電融合技術の期待値
ユニクロの"尊敬されない店長"だった私を変えた、半年の旅と転職
「デパ地下以外は死んでいる」百貨店を支える余力が日本にはもうない