お線香の香りに包まれて、静かに手を合わせる朝

晴れた日の早朝、私が住職をしているお寺の境内のベンチに座り、缶コーヒーを飲みながら菓子パンの朝食を食べるサラリーマンが一人います。

境内の木々の緑に囲まれて、空を見上げながらもぐもぐと頬張っている姿を見かけると、「今日も一日、がんばってください」と応援したくなります。

朝、お寺の前の歩道を軽快に歩く檀家だんかのお年寄りに、散歩ですかと問うと、「神社の境内でやっているラジオ体操に参加した帰りです」という答え。颯爽と手を振りながら去っていく後ろ姿に、こちらの心もすがすがしくなります。

同じころ、ビニール袋と火バサミを持って、町内の植え込みの中のゴミを掃除する檀家のご婦人がいます。毎日、袋の中はそこそこゴミが一杯になるのですから、街のクリーン隊長に頭が下がります。

いずれも朝のルーティーン。それぞれが、気持ちの良い朝の過ごし方を自分流に楽しんでいらっしゃるのです。

私はといえば、本堂で香りの良いお線香に火を点けて、静かに手を合わせる時間を持ちます。時間がないときでも、鐘をゴーンと叩いて、その響きが完全になくなるまで目を閉じてじっとしています。合掌する自分の手の温かさ、冷たさを確認できるのも、このときです。

一日を気分良く始める、朝の習慣

その日一日のスタートをスムースにする「これが私の朝の過ごし方」のようなものが、あなたにもあることでしょう。

シャワーを浴びる、お気に入りのBGMを流す、香り豊かな紅茶、緑茶、コーヒーを味わう(お気に入りの飲み物ならば飲んでいるのではなく、味わっていることでしょう)など。

写真=iStock.com/igoriss
※写真はイメージです

他にも、

・朝一番で、窓を全開にして空気を入れ換える
・帰宅してからやろうとしていることを、朝のうちに少しでもやってしまう(私なら、出す予定の手紙の宛て名だけでも書いてしまうなど)

など。

朝を気持ちよく過ごすことで、その日を順調にスタートさせられる。その実感から、何かしらの方法を試している人は少なくないのです。慌ただしく朝をスタートさせれば、その日一日に良い影響を与えないのを、経験として知っているからです。