世界中の公的機関が「適切に使えば安全」としているのに……
出題文では、人工的な低カロリー甘味料としてアスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、アドバンテームが挙げられています。たしかに、たとえばアスパルテームについては発がん性や妊娠、発達などへの悪影響が問題になったことはあります。イタリアのRamazzini Instituteなどが2000年代に発表しました。世界中で用いられている甘味料だったので、これが本当であれば重大問題です。そのため、研究者や各国の機関がこぞって調べました。
その結果、Ramazzini Instituteの研究の不備が批判され、EUの食の安全を守る要の組織、欧州食品安全機関(EFSA)やアメリカの食品医薬品庁(FDA)、カナダやオーストラリアなど同様の公的組織すべてが改めて、「適切に使えば問題ない」という結論に至っています。
日本では、厚生省が1983年、安全性を評価したうえで添加物として指定し使用を認めています。
アスパルテーム、アセスルファムK…審査を経て使用が認められている
国の機関の結論なんて信用できない、という人は、学術論文のデータベースPubmedを用いて、自分で調べてみるとよいでしょう。リスクを主張しているのはRamazzini Instituteなどごく一部の研究者だけということがわかります。
出題文で取り上げられている別のLCSs、スクラロースについてもRamazzini Instituteから発がん性が提起されました。しかし、ほかの研究者はほぼ否定しています。
EFSAなど公的機関も、検討のうえで否定し、スクラロースは世界で使われています。日本では、厚生省が専門家の安全性審査を経て1999年、添加物として指定し使用を認めています。
アセスルファムKとアドバンテームも、EFSAやFDA、日本では内閣府食品安全委員会が安全性評価を行っており、いずれも発がん性や神経系への毒性等は認められず、世界中で使用されています。