霞が関のITインフラの貧弱さは驚愕レベル

DX化の前に霞が関のITインフラの貧弱さは驚愕すべき状況だ。役所のアドバイザーに就任した民間人が、パソコンを貸与されたが、渡されたのが5年以上も前の製品で、始業時に立ち上げるのに15分もかかる代物だった。それでも事務官からは「これでも新しい方なんです」と言われたという。

役所の現場では10年以上前のパソコンが現役で使われている。また、外部につなげるネット回線も貧弱で、民間企業で当たり前に活用されているパソコンや通信インフラが、ほとんどないのである。

いまだにファクスが多用されているのも霞が関の特徴だ。その原因のひとつが永田町問題。いまだに「紙」の資料を求める国会議員が少なくない。1度目の緊急事態宣言の際は、自民党でも青年局などがオンライン会議を活用し、党内会議にも広がるかに見えた。ところが昨年秋以降、自粛ムードが解けると、ほとんど元の木阿弥状態になっている。

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感染症予防の会議を「密」にやっている議員たち

自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部は1月18日、内閣第二部会・厚生労働部会との合同会議を開いた。感染症法や新型インフルエンザ等対策特別措置法などの改正法案を一括して審査する場だったが、多くの議員が会議室に集まり、肩が触れんばかりの距離に座って議論していた。全員マスクは着用していたとはいえ、「ソーシャル・ディスタンス」は保てない「密」な会合だった。

若手議員は「感染症予防の会議を密になってやっている」と自重気味に話していた。そもそもネット会議をやろうという発想が消えてしまっているのだろう。新型コロナをきっかけに自民党でもDXが進むと思われた時期もあったが、一気に元どおりになった。政権与党の仕事の仕方が変わらなければ、霞が関も変われない。自民党の先生への「ご説明」も相変わらず、対面以外、対応できない高齢議員は少なくない。

菅首相は「7割テレワーク」を呼びかけても、自らの足下である自民党や霞が関は7割どころか、ほとんどテレワークができていないのだ。