かなり踏み込んだ性暴力予防教育を小学校から

【白河】「生命の安全教育」は、幼児期や小学校低学年から行われますよね。水着で隠れる部分については、他人に見せない、触らせない、触られたら大人に言う、他人に触らせないことを指導する。デートDVの危険性やSNSで人と出会うことのリスクなども教えるなど、かなり踏み込まれたなと感じます。これについてはパブコメもかなり来ていました。

撮影=遠藤素子

【橋本】まずいちばん大切なのは、加害者をつくらないということですよね。加害者も子どものときは、当然加害者になろうと思っていません。けれども成長するにつれて、周りの大人や地域社会、教育現場などから、いろいろな情報を取り入れるようになってきます。それと同時に、何かプレッシャーを感じたり、心が荒むことがあったりして事件を起こすわけです。そういった事件を起こす手前、子ども時代に「生命の安全教育」を行うことで、人を敬う心を育てる必要があるということです。

【白河】自分の体を大切にする心も育てますよね。

関係省庁に積極的に掛け合って連携

【白河】これはもともと警察庁で、被害者教育としてやっていたところで、教育の中にはなかった。今回は文部科学省の施策になった。これは画期的なことですが、やはり省庁連携や自民党内の調整でご苦労されたのでしょうか。

【橋本】性暴力予防教育については、以前からずっと必要だと努力されてきた先生たちの議員連盟「ワンツー議連」(性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟)がありましたから、それを私が受け継いで、進めるということになったんですね。

【白河】調整役と思われている内閣府ですが、「各省庁に乗り込んでパワフルに進めていく」と橋本大臣がおっしゃったことが印象的です。それがまさに政策として、こういう形になったわけですよね。

【橋本】内閣府は調整役ですが、私は主役だと思っているんです。調整役だからと、ずっと受け身でいてもしょうがないですよ。調整役だからこそ、すべての省庁に、どういうふうにやっていくんですか、早く動いてくださいと掛け合っていく。それこそ真の調整役であり、コーディネーターとしての重要な仕事です。そこがわれわれの持ち味だったと思っていたので、どんどん推し進めてまいりました。