黒々とした液体に変わった「梅酒」に何度も遭遇した

「あとさ、あれが多いよね……」と話に入ってきたのは、同じくアルバイトの三井雄介さん。

「梅が入っているやつ!」
「梅酒ね!」
「絶対飲まないんだよなぁ」

それを聞いて笑ってしまった。私もゴミ屋敷の現場で、黒々とした液体に変わった梅酒に何度も遭遇した。ほかにも冷蔵庫や食器棚には、緑色に染まった煎餅や賞味期限が数年前に切れている調味料など、本来は口にするものが「食品」とはいえない状態でそこここに存在しているのだ。

撮影=笹井恵里子
作業中の様子。安全を確保するため靴の上からビニールをかぶせている。

またゴミ部屋化する人は、自分が好きなものやこだわりのあるものを際限なく買い集める傾向にある。

「本もめっちゃある家が多いですよね。頭のいい人が多いんだろうなぁ」と再び三井さん。

「じゃあ、俺らは大丈夫だな」と、大枝祐明さんが言い、3人のアルバイトは顔を見合わせて笑う。

「通常」の現場では時給換算で1400円前後

同社のアルバイトには、“プロの芸人”を目指して下積み期間中の人が多い。オーディションを受けるなど急な仕事が入った時にも、仲間同士で勤務日を交代できるため、生活スタイルとマッチするようだ。

懐が寂しい時に“日払い”で給与が受け取れるところも魅力という。給与は、作業時間と現場の困難さ加減でその都度違う。同社の場合は通常「日当」で、時給に換算すると1400円前後。変死現場などになると、もう少し高い。また日当であるから、頑張って早く現場を終わらせれば当然時給単価はあがる。

ただ、どのアルバイトも、この仕事を続けられる一番の大きな理由は「人間関係の良さ」と話す。

「みんな知り合いですから。変な人間関係の派閥もないですし偉ぶる人も嫌な奴もいない。とにかく働きやすいんですよ」