メンテナンスで体質は変わる
体が“エコカー”寄りなのか、古い“アメ車”寄りなのかは、生まれ持った体質に左右されます。同じ量の食事をとっても体質的にエネルギーを消費しやすい人もいれば、消費しにくい人もいる。男女でも異なり、男性のほうが総じてエネルギーを消費しやすく、基礎代謝量が高い傾向にあります。
そうした生まれ持った“車の設計図”は変えられませんが、“メンテナンス”次第でエコカーからアメ車に変えていくことはできます。ここで、燃費の悪い体(“アメ車”体質)をつくるメンテナンスの方法をお伝えしていきます。
基礎代謝のほとんどは臓器からきている
ところで、改めて基礎代謝についておさらいしてみましょう。
基礎代謝とは、何もしない状態で体はどのくらいのエネルギーを消費するかという、生きるために最低限必要なエネルギーのことです。心身ともに安静に、ただボーっと横たわっていても、生きている限り、私たちの体内ではそれぞれの臓器が働いています。
心臓は、絶えず鼓動を続け、全身の細胞に酸素と栄養を送り届けています。ちなみに、全身に張り巡らされた血管をつなげて1本に伸ばすと、なんと9~10万キロメートルほど。地球を2周半ほどできてしまいます。それだけの長さの血管内に血液をぐるぐると巡回させているのですから、エネルギーが必要です。
血液をろ過するフィルター役の腎臓も、単なるフィルターとしてただ存在しているわけではありません。空気清浄機が電気の力で動いているように、腎臓も、血液をろ過して老廃物を尿として排泄するという機能を果たすためにかなりのエネルギーを使っています。
また、機能が低下していても症状がほとんど出ないことから「沈黙の臓器」とも呼ばれ、ふだんはほとんど意識することのない肝臓も、じつは働き者です。よく「化学工場」にたとえられるように、脂肪やタンパク質、糖質を合成・分解するなど、体に必要な栄養素をたくわえて必要なときに送り出したり、薬やアンモニア、アルコールなどの毒性のあるものを解毒したり、代謝にかかわるさまざまな化学反応を休むことなく行っています。
肝臓は、ブドウ糖(グルコース)からグリコーゲンをつくって貯蔵したり、貯蔵していたグリコーゲンを分解してブドウ糖として血中に放出したり、エネルギーをつくる臓器であるとともに、たくさんのエネルギーを使う臓器でもあるのです。
それから、脳もたくさんのエネルギーを消費する臓器です。無数の神経細胞が集まり、情報の送受信を行っています。ちなみに、働いている臓器は、車のエンジンのように熱を生みますが、なかでも脳は熱が出やすい臓器なので、熱くならないように体のてっぺんの頭にあるのだと考えられています。
このように、私たちは生きている限り、生命を維持するためにそれぞれの臓器がエネルギーを使って働き続けています。だからこそ、基礎代謝は大きいのです。