健康にやせるにはどうすればいいのか。生活習慣病・循環器系のエキスパートである池谷敏郎医師は「燃費の悪い体を目指すことになるが、そのためには筋肉をつけるのが必須」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、池谷敏郎『代謝がすべて やせる・老いない・免疫力を上げる』(角川新書)の一部を再編集したものです。

女性アスリート
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「燃費の悪い体」を目指す

代謝というものを簡単に説明すると、「食べたものを処理し、有効に使い、そして効率よくためるために体内で行われる一連の化学反応」です。大きく3種類があり、基礎代謝、活動代謝、食事代謝。このうち、最も消費するエネルギーが多いのが基礎代謝です。

私たちが1日に消費するエネルギーの6割を占めるのが基礎代謝です。だから、代謝を良くするには、基礎代謝をいかに上げるかがカギになります。

では、「基礎代謝を上げる」とはどういうことでしょうか。

端的に言えば「燃費の悪い体」をめざす、ということです。車を選ぶときには、燃費の良い車が好まれますよね。同じ距離を走るのに燃料をたくさん使う古い年代のアメ車よりも、少量の燃料で走れる現代のエコカーのほうが経済的です。

でも、こと体についていえば、エコカーよりも、ふつうに生活をしているだけで無駄にエネルギーを使う、燃費の悪い体のほうが良いのです。

逆に燃費の良い体とは、食べたものをグリコーゲンや中性脂肪に変えて備蓄して、あまり使わずにどんどん体にため込んでしまうような体のこと。一方、燃費の悪い体とは、食べたそばからどんどんエネルギーを消費して、余計な備蓄がたまらず、太らない体です。

めざすべきは、当然、後者ですよね。前者のタイプが得なのは、雪山で遭難したときくらいでしょうか。遭難したときには体内の備蓄を少しずつ燃やすことで生き延びられるわけですが、そんな万が一のことを考える必要はありません。