「話を聞いてくれた」と思ってもらえる態度の重要性

では、「思い込み・勘違い型」の人からの直感的で自己中心的な思いにはどのように対応するべきなのだろうか。

先の例だと、コミュニケーターが「(行政指導による)ガイドラインの沿った対策なのにうるさいことを言っている」と面倒くさがったり、「どんな対策を行っても満足しないに違いない」などと頑なな態度で電話応対をしてしまうと、「上から目線だ」とか「冷たい態度だ」と言い募られ、さらに対応時間を延ばしてしまうことになりかねない。

良かれと思ってアクセスしてきてくれることの多い「思い込み・勘違い型」のお客さまは、自分の話を受け入れて耳を傾けてくれたと感じることにより、気持ちが和らぎこちらの話を受け入れる態勢を見せることが多いからだ。

この事例への応対としては、傾聴し寄り添いの気持ちを伝えることからスタートする。前段にも書いたが、徹底的に悪い人というわけでもないので、冷徹な態度やむげにするような言動は控え、「言いにくいことをご連絡くださり、ありがとうございます」というようなセリフを効果的に使用する。

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実際の状況を正しく伝えて理解を促す「三現主義」

安全・安心への前向きな取り組み姿勢を示すことができれば、お客さまはこちらの話を聞くという状況を整えられる。応対者としては次のステップが非常に重要となる。

顧客接点業務では、こういった時、「三現主義」をふまえて確認や報告をすることが推奨されている。「現場」で「現物」に直接触れて「現実」をとらえ、問題解決を図るという考え方だ。モノづくり企業での推進は周知のことだが、サービス企業でも三現主義の原理原則が実践されており、顧客接点業務にも展開されている。

今回のケースでも、「実際の状況」を正しく伝え、理解を促すことが有効だ。例えば、該当店舗での「予防策実行報告書」の存在や、エリアマネージャーなどによる巡回など、実行施策のエビデンスについて的確に伝える。これは「本当は、行っていないのではないか?」というお客さまの不安を払拭する一助となる。