リーダーがイライラしていると、メンバーもイライラしてくる

【ため息や愚痴が多い人】
・周囲に聞こえるような大きなため息をはく
・なにかブツブツつぶやいている
・なにかに疲れきっている

「はぁ……」とため息をついたり、なにやらブツブツと愚痴のようなことをつぶやいている人がいる。

そういう人を見かけたら、なるべく近くに寄らないのが正解だ。なぜかというと、そういう人のそばにいると、自分まで気分が悪くなってくるから。私たちは、そばにいる人の心理的なムードに影響されやすい。これを心理学では、「心理的感染効果」とよんでいる。

ため息をついている人のそばにいると、自分もため息をつくような気分にさせられてしまう。だから、なるべく近寄らないほうがいいのである。

写真=iStock.com/metamorworks
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米国カリフォルニア州立大学のトーマス・サイは、3人から5人のチームで、テントを組み立ててもらうという実験をしたことがある。ただし、その実験をするにあたっては、リーダー役がえらばれ、そのリーダーの気分だけが実験的に操作された。

あるリーダーには、ハッピーな気分にさせるためにテレビのユーモア番組を見せた。別のリーダーには、怒りの気分を引き出すために社会の不正についてのドキュメント番組を見せた。それから、それぞれのグループに別れて、テントの組み立てをしてもらったわけであるが、リーダーがたのしい気分で、陽気にふるまっていると、メンバーも陽気に作業してくれることが判明した。

リーダーの気分が、ほかのメンバーに感染したのである。また、リーダーがイライラしていると、メンバーもイライラしてくることもわかった。私たちは、自分でも知らないうちに、身近な人の影響を受ける。

「ペアレンテクトミー」という治療法がある。

子どもを親から引きはなすことで、治癒をうながす方法である。子どもを親から引きはなすと、気管支炎やぜんそくといった病気の症状が軽くなることがあるのだ。親がつねにイライラしている状態の家庭にいると、小さな子どもはその影響を受けて、病気になってしまうことがある。

だから、親から引きはなされると病気も治ってしまうのである。ため息をついている人を見かけたら、「どうしたの?」などと話しかけてはいけない。そういう仏心ほとけごころは必要ない。ただ、そっとその場を離れるのがよい。せっかく、こちらの気分が悪くないのに、ため息をつくような人といっしょにいたら、気分が悪くなるに決まっている。だから、その場から逃げ出したほうがいいのである。

◆ため息やグチが多い人の取り扱い方法
すぐに離れよう