自分の「ここがダメだ」と思うところはありますか? 実は、自分自身では欠点だと感じている部分こそに、才能が埋まっているのかもしれません。実は、それに気づかない謙虚さこそが、あなたの足を引っ張っているのだと大人気心理カウンセラーの大嶋信頼先生は語ります。

※本稿は、大嶋信頼『あなたの才能があなたを苦しめる』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

窓の近くを見つめる思慮深い女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/bymuratdeniz)

その欠点は、実は欠点ではないのかも?

以前病院に勤めていたときのことです。

新しい病院を立ち上げるための会議で、院長先生が「何か新しい病院に導入したほうがいいことはありますか?」と出席者に質問します。

すると、隣に座っていた頭がよさそうなイケメン男性が、「いや、利用者さんもスタッフも混乱させないように今のままのほうがいいでしょう」と言います。

私は、そのイケメンの保守的な発言になんだかイライラして、「以前の2階建てのクリニックとはちがって、10階建てのビルになるんだし、どの階からでも患者さんの情報を閲覧、記録できる『電子カルテ』のシステムを導入するべきです」と発言しました。

すると、保守派のイケメンが、「コンピューターで患者さんの情報を入力する」なんて、そんな夢物語みたいなことはあり得ない、と即座に否定します。

当時は「電子カルテ」がまだほとんどの病院で普及しておらず、インターネットでさえ、一部の人しか使っていないような時代でした。

私は、自分の意見を否定されて、ムカっときて、「なんで調べもしないのに最初から否定するんだ!」とイケメンに反論してしまいました。

そう、いつも私はこうやって「相手に否定された」と思い、不安になってキレてしまい、攻撃的な発言をして人間関係を壊してしまいます。黙っていれば、他のスタッフのようにうまくできるはずなのに、私は黙っていられないダメ人間……。

心の中で反省していると、院長は「大嶋さんにはいい怒りがあるね!」と、なぜかほめてくれます。続けて、院長は保守派のイケメンに対して、「怒りはエネルギーなんだよ。怒りがなければ想像力は働かないからね」と優しく言ってくれました。

すると、イケメンは私のことを否定するのをあきらめただけでなく、ちょっとだけ尊敬の眼差しで見るようになったのです。