実は、才能に苦しめられてきた過去
これまで「自分の怒りは自分の最悪なハンディキャップ」とずっと思っていました。これがなければ、人間関係でも勉強でも淡々とこなすことができて、もっと何かを成し遂げることができていたはず。
いつも、この怒りのせいで勉強にも集中することができず、人間関係でもすぐにキレて、バカにされてみんなから見くだされて友だちになることができませんでした。
「怒りはエネルギー」と院長から言われて、「たしかに!」と自分でも思い当たることがその瞬間にたくさん出てきます。
そう! 私をバカにして見下す友だちや両親に対する怒りがなければ、「見返してやる!」と、アメリカに勉強に行くなんてことはしなかった。
怒りがあったからこそ、海外で勉強を続けることができた。それに、怒りがなければ、企業で働いていたときに、社長が嫌がるくらいのたくさんの企画書を書くことはできなかったはず。
たしかに、いつも「この会社のやり方じゃダメだ!」と怒って毎日、新しいアイディアを出して企画書を書き続けていました。
怒って、会社を飛び出してしまったけど、そうしなければ本来、私がしたかった心理学の仕事はできなかった。
「あ! 私の怒りって私の才能だったんだ!」と気づいてびっくりします。
「自分の才能に苦しめられていたんだ」と思ったら、自然と笑みがこぼれてきました。
自信がない人、才能がまったくない、と思い込んでしまっている人ほど、本当は才能の塊だったりします。
その才能のせいで、周りから足を引っ張られてしまっているのです。
周りから足を引っ張られると、才能を気づかないうちに隠してしまい、自信がなくなってしまいます。だからこそ、自信のないところに自分の才能が埋まっている可能性が高いのです。
「才能なんてない」という謙虚さが足を引っ張る
才能があるせいで、足を引っ張られてしまう人は、「私に才能があるなんて思えな〜い!」と、かまととぶっています。なぜなら、才能があると認めてしまったら、足を引っ張られるのがわかっているから。「私にはそんな足を引っ張られる才能もないし」というのも同じで、「才能を認めてしまったら、本格的に足を引っ張られる」と思っているから。
しかし、実際は才能を隠したら、よけい足を引っ張られます。
その仕組みがわからないから、「才能を認めたら、足を引っ張られるにちがいない」と思い、才能を隠してしまうのです。
人から足を引っ張られる人は、「想像力がものすごく豊か」という特徴があります。
普通の人は「自分の才能のせいで、足を引っ張られている」という想像はできません。自分が何か悪いことをしたのかな、相手は不機嫌なのかな、と思うだけ。
才能豊かな人は、「自分の才能が発揮されると、他人から足を引っ張られるかもしれない」と想像してしまい、その想像した通りに相手から足を引っ張られて、ものすごく嫌な目に合います。
「足を引っ張られているというのは、単なる私の想像で思い込みなのでは?」と思う一方で、実際に相手から不快なことをされるので、「もしかしたら思い込みではないのかも?」といつも心が揺れ動きます。すると、想像力がさらに働いて、「才能を隠さなきゃ」と思い、ますます足を引っ張られるような状況をつくり出してしまう。
そうなんです。想像力が豊かな人ほど足を引っ張られてしまうのです。
でも、それは「想像力の豊かさを認めないから、足を引っ張られる」という仕組みになっています。想像力の豊かさを認めないと、能力を隠していて「謙虚」に振る舞っている、と相手から受け取られてしまいます。だから相手の脳内で嫉妬の発作が起きる。
嫉妬の発作は「自分よりも優れた才能を持っているのに、自分よりも立場が下(謙虚)」という条件で起きます。「才能をちゃんと認めたほうが、実は足を引っ張られない」という仕組みを知ったときに、ぶりっ子仮面をかぶった自分は、実はちゃんと自分の才能を知っていたんだ、という事実に気づくのです。