初めて人前で転んだときの恥ずかしさ
羞恥心というのは、もっとも手放しにくい感情のひとつだ。生涯その感情に支配されたまま過ごす人も少なくない。思いだしたくないのに、過去に恥をかいた経験が何度もよみがえったりもする。恥の感情ほど、私たちから生命力を奪うものはない。
どんな人でも、一度くらいは恥をかいた経験があるだろう。私の場合、どういうわけか何度も舞台上で滑って転んでいる。恥ずかしいのに、なぜかそうなってしまう! 今でも思いだすと胸が少し痛むが、そのことをユーモアに変えることを覚えた。そうすることで、恥ずかしさが薄れる気がする。
初めて人前で転んだのは、小学生のときだった。学校で「カエルは池を飛びこえた」という劇に出演していたときのことだ。
私は主役を演じられるのがうれしくて、緑色の衣装を着て、決定的瞬間を待っていた。池になっている水の入ったたらいを見事に飛びこえる見せ場だ。観客は見守っている。そして飛んだ瞬間、何がどうなったのか、まずは音で、次に冷たさで、水を感じた。
気がつくと水びたしでたらいのなかに座っていて、観客の笑い声が響きわたっていた。衣装の色が溶けだして水は緑色に染まり、私は恥ずかしくて身動きできずに泣きだした。