※本稿は、内藤誼人『めんどくさい人の取扱説明書 人間関係がラクになる58のコツ』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
職場によくいる「面倒くさい人」3態の傾向と対策
【締切を守れない人】
・自分でいった締切が守れない
・延ばした締切も破りがち
・間際になって「やっぱり間に合いません」という
今週中に仕上げなければならない仕事なのに、木曜日になってもまだなにも手をつけていないとか、2週間以内に納品しなければならないのに、いつまでも作業に取りかからないとか、時間に対してひじょうにルーズな人がいる。
しかし、こういう傾向は、すくなからず私たちのだれにでもある。私たちは、自分のことになると、ものすごく見とおしが甘くなる。
「自分なら、期日内に仕事を終わらせることができる」と、なんの根拠もなく信じこんでしまうのだ。だから、予想がはずれて、相手に迷惑をかけてしまうのである。
カナダにあるウォータールー大学のイアン・ニューバイ・クラークは、75名の大学生に課題を与え、「どれくらいで終わらせることができると思うか?」と見込みをたずねてみた。
すると、平均して「締切の1.35日前に仕上がるだろう」という答えが返ってきた。ちなみに、「締切を守れずに超えてしまうかもしれない」という予想をした人はゼロであった。
では、すべての人がきちんと課題を提出できたのかというと、とんでもない話であった。67%の学生は締切を守れなかったのである。
「締切をオーバーする」と予想した人などゼロだったのに、約7割の人は、締切をオーバーしたのであった。私たちは、自分のこととなると、ものすごく見込みが甘くなる。したがって、人に予算や日数などの見込みを立てさせるときには注意が必要である。
「この仕事は、いつまでに終わらせられそうだ?」
「そうですね、10日もあれば楽勝だと思いますよ」
もしこんなやりとりをして、「なるほど。10日後には仕事が終わっているのだな」と考えてしまうとしたら、10日後には、期待が裏切られて、大いに失望させられることになるであろう。
では、どうすればより正確な見込みをさせることができるのだろうか。いちばんいいやり方は、「最悪な出来事が、つぎからつぎに、起きたとしたら」という条件で最悪の想定についてたずねてみることだ。
「この仕事は、いつまでも終わらせられる?」
「そうですね、10日もあれば」
「もしほかの仕事や、ジャマが入ったり、資材がとどかなかったり、最悪のことがつぎからつぎへと起きたとしたら、どれくらいで終わらせられる?」
「そうですね、それなら1カ月でしょうか」
私なら、こういう聞き方をして、「1カ月くらいかかりそうだな」と予想する。
人間の見込みはどうしても甘くなりがちなので、最悪の想定について考えたほうが、より現実に近い予想になるからである。時間にルーズな人も、けっして悪気があってウソをつこうとしているのではないのだ。
ただ、私たちの見込みが、ものすごく甘いだけである。したがって、それを責めたりはせず、最悪の想定をしておくようにしよう。最悪の想定をしておけば、少なくとも、相手がウソをついたと感じて失望させられることはなくなるからである。
「最悪の事態を想定」させたうえで見込みをきいておこう