驚きの相づち「えっ!」で相手から話を引き出す

【吉田】では、サロンでの初対面の2人による会話を、白井先生と私とで分析してみたいと思います。共通する指摘があったら、すごく意味のある要素かもしれません。45cm以上離れて、斜めに座りましょう。ではスタート!

写真=iStock.com/Sushiman
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Aさん「こんにちは。初めまして」
Bさん「こちらこそ初めまして。よろしくお願いします。今日はどうやってここまで来たんですか?」
Aさん「えっと、普通に電車です。都内なので」
Bさん「へえ! 都内にお住まいなんて、カッコいい!」
Aさん「でも東の方だからカッコよくは……」
Bさん「そうなんですか」
Aさん「Bさんは、今日はどうやってここまでいらっしゃったんですか?」
Bさん「バスです。高速バス」
Aさん「ええっ!? どちらから来たんですか?」
Bさん「宮城県です」
Aさん「そうなんですね! 何時間かかったんですか?」
Bさん「6時間くらいですかね?」
Aさん「お尻痛くなりそう」
Bさん「めっちゃ痛い。今日は尻芸できないです」
Aさん「……東京に来るときはいつも高速バスなんですか?」
Bさん「そうなんですよ。新幹線のほうがもちろん絶対ラクなんですけど、最近、結構東京に来たくなる機会が多いんで。お金を節約したいと思うと、結局どんどんお尻が痛くなる。絶対尻芸できないです」
Aさん「そうですか……」

【吉田】はい、そこまでにしましょう! わかりやすいポイントがたくさんある会話になりました。分析がやりやすい! 早速やってみましょう。

謙遜した返答に、疑問を感じなかったか?

【吉田】まず、冒頭の「こんにちは」とか「初めまして」ですが、挨拶から始まることって、当たり前のようでいてとても大切です。敵意がないことを明確にしていますからね。そして、お二人の「疑問で聞き返す」姿勢が、この会話でとても有効に機能していましたよね。どんどん質問していって、相手から情報を引き出していくことが、会話を加速させたり、思わぬ方向に転換させたりするんです。

Bさんは、遠いところからお越しいただいていたんですね。だから「都内」に反応したんですよね。で、「カッコいい」までの流れはよかったんですが、「東のほうなので……」というおそらく謙遜したAさんの返答には、ちょっと疑問を感じませんでしたか? せっかく東京の東側に住んでいるという情報を引き出したので、なぜ東だとカッコよくないと思うのか、東京の東側はどのようなイメージなのかとか、そこは一度質問してみてもよかったですね。ちなみに私は、東京の東側の下町、すごく好きです。街頭インタビューを集めるとき、西側の人より断然気軽に答えてくれるから。

それから、Aさんの答えにあった「でも」という接続詞は、極力使わない方がいいですね。「しかし」「だけど」「だが」も同じで、逆接の接続詞は、相手が否定的な印象を受けてしまうので、できれば使いたくない言葉です。特に意味なく、ついクセで使ってしまう人も多いと思うんですが、共感を得たいと思っている会話では、誰でも「だけど」とか「でも」とはいわれたくないですよね。