ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏は長年会話に悩んできた経験から、サロン「吉田尚記コミュニケーション研究室」を立ち上げた。これは、コミュニケーションに悩む人が集い、専門家と一緒に解決策を探る場だ。今回は談話分析の専門家・白井宏美さんを交えて、初対面の相手との会話術を解説する――。

※本稿は、吉田尚記『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(アスコム)の一部を再編集したものです。

画像=YouTubeより 吉田尚記氏
画像=YouTubeより ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏

初対面の相手とは45cm以上距離を離して、斜め前に座る

【吉田尚記】私には長年会話に悩んできたことで生まれた得意技がありまして、人の会話を分析できるというか、その会話がどういう構造になっていて、なぜそうなったかがその場で把握できるんです。白井先生の学術的な研究とは違って、我流ですけどね。

そこで、実際の会話を素材として、相づちを含む会話改善のヒントを探っていきたいと思うんです。特に、私たちがもっとも苦手とする、まったく初対面の人との会話です。

【白井宏美さん(談話分析の専門家、慶應義塾大学SFC研究所上席所員)】ある研究によると、初対面の相手と話しやすくしたければ、相手との距離を45cm以上離して、真正面に向き合うことは避けた方がいいというデータがあるんです。座る位置は斜め前がベターです。

【吉田】そうなんですか! 実は私も初めての人にインタビューする場合って、真正面には座らないんです。経験的に。4人掛けの机なら、対角線上になるように座ります。それを見越してなのかはわかりませんが、ラジオのスタジオに置いてある机って、長方形ではなく台形になっているんです。正面に座っても、相手に対してちょっと角度がつくんです。あれって理に適っていたのか!

【白井】放送業界の経験則と、こちらの研究が合致しているのかもしれません。