鉄筋コンクリート造を上回る資産価値を維持する住宅
住宅性能評価を取っている物件の耐震等級はおおむね最高等級の3を取得している。その内容は、数百年に一度程度発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度である。
阪神淡路大震災の死因は建物の倒壊による窒息・圧死で72.57%(3979人)を占めた。つまり、人命が損なわれるような壊れ方はしない安心は大きい。また、劣化等級もおおむね最高等級の3を取得している。等級3とは、3世代(おおむね75~90年)住めるということだ。
もう1つの制度である長期優良住宅は、その認定基準は住宅性能表示と重なる部分が多い。耐震性は等級2以上なので住宅性能表示よりやや緩いが、劣化等級は3(おおむね75~90年)が必要である。このように、住宅性能評価付き住宅と長期優良住宅は国のお墨付きで、鉄筋コンクリート造住宅の47年をはるかに上回る資産価値を維持すると考えられている。
優良な分譲戸建てはマンション同様に売却できる
こうした制度の最も重要な価値は、売却する時の価格に表れる。マンションの場合は立地と物件属性の基準を満たすと、値下がり幅が小さくなることが分かっている。これと同じことで、住宅性能評価書付き住宅と長期優良住宅の場合、値下がり幅が小さくなることが分かった。
中古で売買された取引価格は、住宅性能評価付き住宅で年間下落率-1.4%、長期優良住宅で年間下落率-1.6%だった。これは建物の減価償却後の価値と比較してほぼ同等かそれ以上に当たる。ここから言えることは、住宅ローンの返済スピード(年2.7%)よりも下落率が小さいこうした国のお墨付き戸建てはマンション同様にいつでも売却できるということだ。
分譲マンションも分譲戸建ても既製品という意味では同じだ。そこには注文住宅のような奇抜さはなく、多くの人のニーズを満たす最大公約数的な商品企画になる。そのスタンダードな商品企画こそが取引量を増やしている要因になる。こうした企画だからこそマンションが立地で価格が決まるように、戸建ては立地に加え、住宅性能評価書・長期優良住宅が付いているかどうかで決まるのだ。