「マンションは高くて買えない」という嘆き
「マンションは高くて、もう買えない」
最近、私がよく聞く嘆きだ。マンションが値上がりしやすく、資産性が高いことは既に常識になった。マンション大手7社連合のメジャーセブンの調査によると、マンション購入理由の1位は「資産性」となっている。こうした背景の下で、マンション価格は2013年以降値上がりを続け、当時の5割増しになった。
年収が大きくは上がらない中、もう買えないと言われても致し方ない状況にある。実際購入しているのは、共働きのパワーカップルと呼ばれる世帯中心に変わってきている。結局、資産性がある(値下がりしにくい)物件は金持ちしか買えないというのでは資産格差は広がる一方だ。
しかし、戸建てにも資産性の風が吹きつつある。
今年の新築分譲は「マンション2割:戸建て8割」
コロナショックで首都圏の新築分譲マンションの2020年の供給戸数は前年比で大幅に減りそうだ。2万戸を割りそうな水準で、前年の3万1000戸の3分の2にすぎない。
新築マンションの代替案の1つが中古マンションだ。中古マンションの成約戸数は既に新築マンションの供給戸数を逆転している。マンション買っている人の半分以上は今や中古なのだ。ただし、中古マンションも新築マンションに引っ張られて高騰している。
そこで浮かび上がるのが、新築の分譲戸建てである。日本では新築信仰と言われるほど、「新築しか嫌だ」という人は多い。他人の手垢がついてないものを買いたい気持ちは理解できる。こうして、2019年の東京都を中心とする1都3県の着工戸数は6万3360戸と分譲マンションの供給戸数の既に2倍になっている。
そんな新築分譲戸建てはコロナショック後も順調に売れている。こうして、今年に限っては新築分譲される住宅のシェアがマンション2割、戸建て8割になりそうな状態にある。
マンションが値上がりしたのに対して、戸建てはほぼ横ばいの価格で推移している。理由は簡単だ。戸建て用の土地は相続の発生等でコンスタントに供給され、木造の建築費は低位安定しているからだ。こうして、分譲戸建て価格は割安となり、手頃感が増した。