「自分を愛することから他人への愛も始まる」
リーダーのRM(キム・ナムジュン)は今回の“無観客コンサート”について、「これが未来の公演かと思うと怖くなった。でも、世界中の多くのファンが助けてくれたおかげで無事に終えることができた。いつ会えるかわからないけど、最善を尽くしたい」とコメントしたが、同時に自分がダンスでミスしたことについて、「ARMY(BTSのファンの愛称)に謝罪したい。僕は自分自身に酔ってしまったようだ。ごめん」と、率直に告白してわびたのは印象的だった。
RMは一昨年の国連総会での感動的なスピーチでも、「失敗やミスは僕自身であり、人生という星座を形作る最も輝く星たちなのです」と、世界の若者に向けて自分を愛することの大切さを訴えた。その言葉にはまさに“不完全だからこそ悩みながら成長し続ける”というBTSのこれまでの軌跡が凝縮されていると言える。
BTSとBig Hitがユニセフと共同で行った反暴力キャンペーン「LOVE MYSELF」が、6月22日にユニセフ・インスパイア・アワードを受賞した。韓国ユニセフ協会のイ・ギチョル事務総長は、こう語っている。
「“自分を愛することから他人への愛も始まる”というBTSのメッセージが、世界中で肯定的な変化をもたらしている。今回の受賞は、世界の児童と青少年に慰めと勇気を伝えるBTSの良い影響力の結果だと思う」
「この歌を聞いてから自分を愛することを知った」
この彼らのメッセージは、いじめや暴力の撲滅を訴える映像の中で歌われている「Answer:Love Myself」で聞くことができる。その一節にはこうある。
「ひょっとすると、誰かを愛することよりも、もっと難しいのが自分自身を愛すること/昨日の僕、今日の僕、明日の僕/足すことも引くこともなく、これが僕のすべてなんだ」
YouTubeにアップされた動画には、ARMYたちのコメントが何百と書き込まれている。コメントをいくつか拾って紹介してみよう。
「コンサートでRMの言葉を聴きました。『皆さんが自分を愛せるように、僕たちを利用してください』私の心の中の切れていた電球に1つ、光がつきました」
「私には父親がいない。ママは私のことを嫌っている。兄は私を傷つけてばかり。私はベッドで鏡を見て、こんな醜い私を愛してくれる人なんかいないって思っていた。でもこの歌を聞いてから、自分を愛することを知ったの。この7人の天使に会えて本当によかった。そしていまは思っている。自分を変える必要はない。自分自身でいればいいんだって」
「BTSを尊敬している。彼らが特別なのは音楽だけじゃない。ファンを大事にしてくれるところ。たとえセクシャルマイノリティでも、人種が違っても」
「コロナのせいで気がめいり、寂しくて、つらくて、ビルの屋上に上った。最後にこの歌を聴いてから……と思ったら、もう少し頑張ってみようという気持ちになった。いつもBTSのオッパ(お兄さん)たちの笑顔を見ると、自分も思わず笑顔になれるから」
「私はブス。(BTS:君はきれいだよ)/デブだし。(BTS:君は完璧さ)/私は誰からも必要とされてない。(BTS:僕には君が必要さ!)」
「先生:勉強しなさい。/親:私を困らせないでね。/友達:もっと楽しませて。恋人:いつもきれいでいて。BTS:あなた自身を愛して!」
これらのコメントを読めば、いかにBTSのメッセージがファンたちの心に真っ直ぐに届き、それが孤独や暴力に苦しむ若者たちにどれほど大きな勇気を与えているかがよくわかる。