対面以上に「熱意」を伝えるひと工夫とは

オンラインによる商談・会議では、タイムラグもあるため、対面とは異なる話し方が求められる。聞き手を疲れさせず、かつ飽きさせない話し方とはどんなものだろうか?

デロイトトーマツの青砥氏は、リアルコミュニケーションとの違いについてこう語る。

「オンラインでは、意識的にゆっくり、ハキハキと話すようになりました。オンラインは、姿は見えていても基本的に言葉のみのコミュニケーションですから、簡潔でわかりやすく話すように心がけています」

山下千佳氏

ギャプライズの山下氏は、意識的にジェスチャーを取り入れるようにしているという。

「『頷き』も大切ですね。自分が話しているとき、相手の反応が小さいと、伝わっているのかどうか不安になる。だから相手の話を聞くときには、オーバーと思えるくらいに大きく頷くようにしています」

ヤナセの三上氏は、「リアクションを大きくして、端的に話す」ことを心がけているという。

「店舗で対面して行う商談は、お客様にとっては“逃げ場がない状態”です。これに対してオンラインで会話しているときは、お客様が真剣に話を聞いてくれているのかどうか確認できません。聞いているフリをしながら手元でチャットをしていたり、何か違うことを考えていたりしている可能性もあります」

オンライン商談が対面による商談と大きく異なる点は、「顧客が自宅にいる」という点だ。営業マンにとっては「アウェイ」の状況だが、この状況を味方につけることもできる。ヤマト住建の阿部氏はこう語る。

「お客様に自宅内を見回しながらイメージを膨らませてもらえる点はオンラインならではの利点です。例えば、当社ではアルミ製ではなくカビが発生しにくい樹脂製サッシを使用しています。ただ、店舗で説明をしても、お客様はイメージしにくい。でも、オンライン商談では、『現在、お宅のサッシはどんなものですか?見てみてください』とお願いします。冬場の結露に悩んでいる方なら、樹脂製の魅力をよりリアルに感じていただけると思います」

対面での商談に比べて、オンライン商談では「熱意」や「思い」を伝えることが難しいと感じている人も多いだろう。ヤナセの三上氏は、使い方次第で強みに変えられると話す。