『どこがポイントか』『何を伝えたいか』をより明確化する

「会議の前には、通常使っている資料をオンライン用にブレイクダウンして、『どこがポイントか』『何を伝えたいか』をより明確化するようになりました。基本的には『一枚のスライドに1つのメッセージ』を心がけています。使用するフォントも、大きく、読みやすいものを使うよう意識しています」

デロイトトーマツベンチャーサポートの青砥優太郎氏は、国内外約3000社のベンチャー企業とのネットワークを活かし、得られた知見を大手企業向け支援に生かしている。青砥氏は、多い日には16件の商談・会議をオンラインで行っているという。

「コンサルティングという仕事の特性もありますが、プロジェクト単位の仕事なので、そもそもメンバーが一堂に会することが難しいんです。そのため会議は基本的にオンラインです。特に20年3月から4月にかけては、100件以上のオンライン打ち合わせを行ってきました」

オンライン会議には、会議場所への移動時間が不要になる、どこにいても(移動中でも)会議に参加できるなどのメリットがある。その一方で、長時間にわたって緊張感を保つことが難しいという側面もある。「会議の参加メンバーをどう選ぶか?」「1回の会議にどれくらいの時間を設定するか?」「どんな頻度で会議を設定するか?」は重要なテーマだ。

青砥氏は、1回ごとの会議時間を短くして、頻度を高めることで、より深い議論につながると指摘する。

「議題を明確化し、集中して議論することで、移動時間を含め『月1回・2時間』の会議を『週1回・30分』で月4回にするのです。資料や情報は事前に共有しておけば、30分間の会議はディスカッションに専念することができる。会議を細分化することで、目的が明確になり、議論の密度や質が高まります」

山下氏は、オンラインになったことで顧客とのコミュニケーションが親密になったと感じている。

「従来は、クライアントを訪問するのは営業担当のみで、実務部隊のスタッフはお客様と対面する機会はありませんでした。クライアントの担当者から『実務担当の○○さんってどんな方?』と質問を受けることもあったんです。オンラインになってからは、『ちょっとご紹介しますね』という感じで気軽にミーティングに同席してもらうようになりました。そういう意味ではオンラインになって、コミュニケーションの『量』や『密度』は、むしろ増しているかもしれません」

オンラインによる会議に「正解」はない。過去の習慣や常識に捉われることなく、相手の立場でメンバーを選び、準備を行う。これが、相手の心をつかむ秘訣といえるだろう。