冒頭から単刀直入! 雑談は要らない
オンライン会議は冒頭いきなり相手が現れる。ここでもたついていては野暮だ。この時間はどのように使うのが有効なのだろうか?
デロイトトーマツの青砥氏は、この時間を使って各メンバーの役割と目的を明確にしておくことが、会議の成否を分けると力説する。
「対面の会議では、名刺交換を済ませて着席した時点で、誰がどんな役割を担っているのかが一目瞭然です。名刺の肩書に『事業戦略部』と書いてあれば、『あぁ、この人は新規事業の担当なんだな』と理解できる。対してオンラインでは、顔と名前が画面に表示されているだけなので、参加者の『所属』や『プロジェクトにおける役割』が、他のメンバーに見えにくいというデメリットがあります。この点を明確に共有したうえで会議をスタートすることが大切です。従来なら冒頭のアイスブレイクで半ば無意識に行っていた自己紹介を、オンラインでは、より丁寧に行う必要があると感じます」
ファシリテーター役も、常にメンバーそれぞれの役割を明確化しながら、発言を促したり、質問を投げかけたりする配慮が必要だ。
対面での会議では、コミュニケーションを円滑にするために趣味の話題など雑談をするケースも多い。
ヤマト住建で注文住宅の営業を手がける阿部一樹氏は、オンライン商談のみで成約を勝ち取った経験を持つ強者だ。その阿部氏は商談における雑談の効用には否定的だ。
「雑談を通じてお客様の心をつかむという営業マンもいますが、私自身は、雑談はしませんね。雑談で双方が共感するケースはごくまれだと思うからです。最初に、お客様が家づくりに際して何を大切にしているのかを丁寧にヒアリングして、その後は本題である当社の説明に入ります」
それとは対照的に、ギャプライズの山下氏は、アイスブレイクで前回の会議を振り返るという。
「同じメンバーと2回目以降の会議をするケースなら、前回の会議で決まったことを再確認することもあります。『あの件、その後どうなりましたか?』という感じですね」
対面の会議に比べ、ともすればコミュニケーションが散漫になりがちなオンラインだからこそ、話し合うべきことを明確にし、何のために会議をするのかという目的意識の共有がカギとなる。互いの貴重な時間を尊重する意味からも、冒頭の時間こそ有効に使いたいものだ。