米リポート「中国海軍は海上自衛隊より完全に優位」
もし、その途上で最悪の事態——軍事衝突が起こった場合、日中どちらが優勢なのか。ひところ、軍事のプロであれば装備その他の点で圧倒的に日本側に強みがあると皆口をそろえていた。
しかし、米国のシンクタンクからそれを覆す内容のリポートが出た。ワシントンの安全保障研究機関「戦略予算評価センター(Center for Strategic and Budgetary Assessments)」の105ページにわたるリポート「DRAGON AGAINST THE SUN(「太陽に挑む竜」6月18日付)」は、中国海軍の力がここ5年で海上自衛隊のそれを凌駕し、完全に優位に立った……と分析。衝突から4日以内に中国軍が尖閣諸島を占領するシナリオの1例を挙げている(同リポート72ページ)。
同リポートは、「中国が日本をGDPで逆転したという2010年頃から海軍を増強し、日本を容易に屈服させることができるまでになった」、最近では「米軍の介入なしに尖閣を領有する」算段まで行っており、尖閣諸島の領有権や日米同盟を揺るがすところまできているという。
同リポートは日本に対し、このままでは5年、10年先は逆に海軍力の差が開く可能性があり、早急に軍事バランスを均衡に戻すよう提言している。前述のような中国や中国軍の言葉と行状は、このリポートの内容を裏付けているようにも見える。
にもかかわらず、実効支配していると口ではいいながら、今も灯台やヘリポートのような施設も造らず、政府職員も出入りしていない。国家の施政権・管轄権を一切行使しようとしていないのだ。素人目にも強面・中国への忖度にしか見えず、業を煮やした民間人がこれまでに何度も上陸を試みているが、他ならぬ日本政府がそれを押しとどめるというひどいありさまである。
「私たちが中国を変えなければ、彼らが私たちを変える」
領土・国民を守るのが国家の最低限の義務であり、だからこそ国民は税金を払っているのである。このままでは本当に尖閣諸島を失いかねない。しかしここにきて、グダグダの日本を尻目に、トランプの堪忍袋の緒が切れた。
「私たちが共産主義の中国を変えなければ、彼らが私たちを変える」「習近平氏は全体主義イデオロギーの信奉者」「もはや米中両国の根本的な政治的、イデオロギー上の違いを無視できない」——7月23日のマイク・ポンペオ米国務長官の演説は、米国と中国の対立が、まったく新たな局面に入ったと感じさせた。
「もはや(中国を)普通の国として扱うことはできない」とまで言い切ったポンペオ氏の演説、11月の大統領選対策であるとか、沈静化しないコロナ禍から国民の目をそらすためといった常とう句でその目的を矮小化すべきものではなく、後世で何かの節目として記憶されるものとなるのかもしれない。