今夏のボーナスまではちゃんと支払うが、それ以降はわからない

それでも大手企業の夏のボーナスは5~6%減にとどまった。その理由は、原則として夏のボーナスは前年下期の業績(2020年3月期決算)が反映され、コロナ禍の影響がそれほどなかったこと、また、今年の春闘の労使交渉ですでに決定していたことが影響している。

今後の業績の見通しが悪くても、とりあえず夏のボーナスは報いてやろうという企業も多かった。

たとえば大手製造業の人事担当者は「事業部によっては、コロナの影響で売り上げは大打撃を受けているが、他の部門で利益を何とか確保できたので現状維持となる。ただし、次回以降は厳しくなることが予想されるので、今回は従業員に応えていきたい」と語っている。

つまり、夏のボーナスまではちゃんと支払うが、それ以降はわからないということだ。

別の製造業の人事担当者は「2019年度の下期は、ほぼ計画通りの利益を達成したので約束通り支払う。しかし2020年冬はかなり厳しい見通しだ」と言い切る。

「2020冬以降のボーナスは記録的なマイナスになるだろう」

ある意味で当然だろう。

冬のボーナスは今年4~9月の業績が反映される。4月以降、緊急事態宣言による外出自粛による消費の冷え込みが企業業績を直撃した。また、解除後も経済の水準は低迷したままだ。

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これは、コロナの直撃を受けている航空、観光・旅行、宿泊、飲食などにとどまらない。財務省が7月20日に発表した今年上半期の貿易統計で輸出額は前年同期に比べて15.4%減となり、4~6月の3カ月連続で前年同月比20%超も落ち込んでいる。とくに基幹産業の自動車は上半期で30.9%減も低下している。

一方、トヨタなどが7月に入って徐々に生産計画を引き上げつつある。しかし仮に経済が再開しても賃金などは遅れて影響が出るのが一般的だ。

エコノミストの中には今年の冬や来年の夏のボーナスは2桁減と、08年のリーマン・ショック後の夏のボーナス以来の低さになると見る向きもある。JTBはすでに1989年以降初めてとなる冬のボーナスを支給しない方針を明らかにしている。

日本総合研究所の山田久副理事長は経済が再開しても新型コロナウイルスのワクチンが開発・普及するまではコロナ前の経済の水準に戻ることはないと言う。

「元に戻らない状態が最低1年続くと見ている。当然企業は売り上げが落ちることになるが、生き延びるためにコストを下げざるをえない。コストを下げるには給与カットは当然のこと、ボーナスは記録的なマイナスになるだろう」