「一時休業のダメージが大」中小企業は大手以上に厳しい状況
夏のボーナスは2013年以降プラスに転じ、この5~6年間は好調が続いたので、下がったことにショックを受けた人もいるかもしれない。
しかし、考えてみれば毎月の固定給である月給と違い、会社業績しだいで増減する変動給だ。
1990年代までは給与プラス平均5カ月のボーナスの年間17カ月の支給という時代が続いた。2000年以降は、給与を増やさない代わりに会社が儲かった分はボーナスに反映する流れが主流になった。それにより、不況期になると減少し、赤字になると支給額ゼロになることも珍しくなくなった。
冒頭で紹介したのは大手企業の夏のボーナスの状況だが、中小企業はどうか。
大阪シティ信用金庫が取引先の夏のボーナスを調査(991社)したところ、夏のボーナスを支給する企業は50.4%と前年比9.4ポイント減となり、リーマン・ショック後の2009年6月調査(8.9ポイント減)を上回った。支給する企業でも金額は27万8946円で前年比5.1%のマイナスとなった。前年比プラスは建設業のみで、とくに卸売業、製造業は大幅減となっている。
中小企業のボーナスの不支給や減少の背景には、自動車産業など大手企業の業績不振を受けた受注減による休業の影響もある。
自動車部品メーカー関連中小企業「ボーナスを支払える状況ではない」
中小の製造業を中心に構成するものづくり産業労働組合JAM(組合員35万人)では傘下組合の3分の1(574組合)が一時休業に入るなど甚大な影響を受けている。3月の一時休業は75組合だったが、4月に391組合に急増し、5月に新たに190組合が加わった。
JAMには自動車部品メーカーなど関連企業が多い。自動車大手の2020年3月期決算はコロナショックの影響で5社が営業減益。中でも日産自動車は6712億円の赤字に転落した。
自動車各社は本年度も景気悪化を予測し、生産台数を大幅に減らす計画を表明。関連産業や中小企業への影響は必至と見られていた。
同労組の担当者は「(一時休業の措置をとる企業は)3月はそれほどでもなく、4月に増加するのではと警戒していたがいきなり跳ね上がった。5月までの累計で574単組というのはリーマン・ショックのときとほぼ同数になっている」と指摘する。
業種別でも輸送機器が200単組中105単組で52.5%と半数が休業、一般機械が640単組中219単組で34.2%が休業に入っている。とてもボーナスを支払える余裕のない企業も多い。