夏のボーナス前年比増の業種も冬ボーナスは……

今年の冬以降、文字通りボーナス冬の時代がしばらく続くことになる。もちろんコロナの直撃を受けた企業にとどまらない。夏のボーナスで15.14%増の建設、7.55%増の不動産・住宅(日本経済新聞調査)も例外ではない。

住宅関連メーカーの人事担当者はこう語る。

「今年3月までは業績は好調だったが、4月以降、状況がガラリと変わり、受注が低迷している。すでに固定費削減の指示が経営から出ているが、真っ先に対象になるのが冬の賞与。次が2022年卒の新卒採用数の削減におよんでくるだろう」

もともと建設・不動産業界は2020年の東京オリンピックまでは経済好調との前提で攻めの事業計画を推進してきた。しかしオリンピック前にコロナがストップをかけた。

すでに「オリンピックなし」を前提にした事業計画の見直しを始めている企業も少なくない。

同じく夏のボーナス増の総合商社も2020年3月期決算では大手7社のうち5社が減益・赤字となった。4月以降は収益基盤の鉄鋼、自動車部門が低迷している。冬以降は夏のボーナス以上に望めないのは確実だ。

ボーナスだけではない。給与激減、残業代カットも必至

話はボーナスだけにとどまらない。さらに深刻なのが毎月の給与の減少だ。とくに給与の補塡ほてんの役割を果たしていた残業代が減少の一途をたどっている。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(一般労働者)によると、所定外給与、いわゆる残業代は今年3月に前年同月比4.0%減、4月12.8%減だったが、5月は26.2%減となった。当然、残業時間が減ったことによるが、5月の残業時間は前年同月比30.7%減となっている。

残業代と書かれたカードが切断されている
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

もちろんその理由はコロナ禍による在宅勤務が増えたことによる影響がある。在宅勤務でも残業すれば会社は残業代を支給する必要があるが、在宅勤務の残業を原則禁止としている企業もある。社員も残業代を申請しづらいという事情もある。また、出社制限が緩和されても、業績低迷の企業が真っ先に削減対象にするのが残業代である。今後は残業代を当てにすることが難しくなるだろう。

毎月3万~5万円もらっていた残業代が大幅に減少し、さらにボーナスも大幅に減らされていく。企業業績しだいではさらなる給与カットも発生するかもしれない。

先が見えないサラリーマン貧困時代が訪れようとしている。どのようにして生き延びていくのか、生活防衛策を真剣に考えるべき時期にきている。

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