第三に、自分の好きな経済学者やエコノミストを持つことが大切である。必要に応じて、彼らが書いた専門書を読んでみるのもよいだろう。仮に彼らの予想が外れたとしても、その見方はひとつの羅針盤として大きな意味を持つ。

その道の達人でも夜中に目覚め自問

筆者の目から見ても、名前が売れている経済の専門家は「玉石混交」だ。多様な専門家のなかから「本物」と「偽者」を見分ける目を持つことが大切である。筆者が尊敬する故大山倍達ますたつ・元極真会館総裁は、常々「握り方3年。立ち方3年。突き方3年。9年やらないと空手の門には立てない」とおっしゃっていた。しかし、その大山総裁ですら、晩年、夜中に目が覚めて、「自分の拳の握り方が本当に正しいのか?」と自問することがあったという。

筆者は、1993年に当時の日本興業銀行(現みずほ銀行)調査部に配属され「エコノミスト」になってから25年以上たったが、自分の経済に対する見方、ロジックが本当に正しいのかどうか、いまだに自問する日々が続いている。どの分野でもそうだが、道を究めようと思えば、その道程は限りないのだ。

いまこの原稿を読んでいただいている皆さんが、グローバル経済や金融市場の動向に関心を持ち、地道な努力を続けるようになっていただければ、筆者にとって望外の幸せである。

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