日経平均株価は8月に一時4451円下落し、歴史的大暴落を記録した。日本の株式市場は今後どうなるのか。『世界一やさしいファンダメンタル株投資バイブル』(KADOKAWA)を出した公認会計士の日根野健さんが解説する――。
「あのときの暴落、なんやねん?」
2024年8月2日、日経平均株価は3万5910円まで下がり、翌営業日の8月5日にはさらに急激に下がり、ストップ安が約800銘柄も出るというパニック状態になりました。
このときに「底値で売ってしまった」という方はたくさんいらっしゃると思います。ところが、株価はその後、8月16日には3万8063円まで回復。株式投資の経験が短い方は「あのときの暴落、なんやねん?」と、特に驚かれたのではないでしょうか。
実はこのような暴落は数年に1回ぐらいは起こります。冷静に対処するためには、まず暴落の要因をしっかりと理解する必要があります。
暴落に潜む3つの要因とは
暴落には3つ要因があります。
1つ目は「割高だった株価の下落」です。株式には、適正価格ともいえる理論的な価格があり、ここでは「1株価値(1株当たりの株主価値)」といいます。
1株価値と比べて、今の株価が安ければ割安といいます。良い企業の株価が割安なときに株式を購入し、その後、ほかの投資家が「割安だ! 買いだ!」と気づいて購入し、株価が上昇して割高になったところで売却するのです。
これが、長期投資において利益を得るための基本的な考え方です。株式を「安く買う」とは「割安な価格で買う」ということを意味しています。
例えばA社の1株価値を100円、それに対してついている株価が80円だとすると、これは割安です。一方、B社は1株価値100円に対し、株価は120円。これは割高です。
B社のように株価が上がっている場合、割高だと分かっていても、投資家は「買っておくか」と買うことがあります。このようにもともと割高だと感じていた株価が下がったとき、それを買っていた人にとっては「下がるのはもっともだ」と納得感があるわけです。