市場は時折ヒステリーになることを心得ておく
株式投資をしたことのある人なら、誰もが「人気がある株、上昇している株は買いたくなり、人気がない株、下落している株は売りたくなる」という経験をしたことがあると思います。
人よりも儲けたい、儲けを自慢して自尊心を高めたいという欲望もあれば、資産を失う恐怖も当然あるでしょう。資産が減ると自分の人間としての価値まで落ちるかのような錯覚に陥ることさえあります。
8月5日のときのように「みんなが売っているから、わからなくても自分も売ってしまおう」という一人ひとりの心理がパニックを生み出すのです。
逆に言うと、ミスターマーケットが、時折ヒステリーに陥るということについて心の準備をしておけば、ある程度はこちらも振り回されなくなります。
ミスターマーケットが楽天的なときは、「はいはい、ご機嫌よろしくて良かったね」と距離を置き、ミスターマーケットが世界は終わると喚き散らしているようなときには「はいはい、世界が終わるわけないよね」と距離を置くのです。
暴落しても99%の上場企業は倒産しない
このような暴落はこの先も必ず発生します。だから私たちも発生する前提で、株式投資に臨む必要があります。
過去の事例をみると、ITバブル崩壊の影響などで倒産が多かった2002年には日本国内で29社の上場企業が倒産しました。リーマンショックが起こった2008年に倒産した上場企業は33社でした。これは上場企業のうちの1%にも満たない数です。
コロナショックの2020年にいたってはたったの2社。平時のときより倒産が増えるのは確かなのですが、99%以上の企業は生き残ります。
上場企業は上場するまでに厳しい審査をくぐり抜けていますし、上場企業としての信用力がある、経営管理体制も強固で、経済状況の急変時にも臨機応変に対応するだけの組織力がある、といったことが背景にあると考えられます。
つまり、株価は暴落しても企業が倒産するということは、ほとんどないということです。自分のポートフォリオにしっかりと厳選した企業を組み入れていれば、株式市場が暴落したときに慌てる必要はまったくありません。