2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。政治経済部門の第5位は——。(初公開日:2020年7月8日)
激化する米中対立はこれからどうなっていくのか。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「筆者の中国経済に対する見方は『短期=楽観。中長期=悲観』。いまの中国経済は『人類史上最大のバブル』といっても過言ではなく、崩壊が迫りつつある」という――。

※本稿は、熊谷亮丸著『ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?』(日経BP)の一部を加筆・再編集したものです。

中国で不動産規制強化か 地銀がローン権限一本化=2013年2月27日
写真=ロイター/アフロ
中国の不動産価格についての根拠のない楽観論は、もはや臨界点に達しつつある。

米中対立激化でブロック経済化の懸念

ポストコロナの時代に想定されるグローバルな構造変化として、日本にも多大な影響があるのが、米中対立の激化だ。

中国の「マスク外交」に対する国際社会の評判はすこぶる悪い。世界中の国が、医療支援などをテコに「一帯一路」政策などを推進し、自国の影響力を拡大しようという中国の外交スタンスに辟易している。

米中両国は新型コロナウイルスの発生源や初期対応、WHO問題などをめぐって、非難合戦を繰り広げているが、こうした問題は米中間の貿易摩擦にも飛び火しつつある。

2020年に入り、中国は米国からの輸入を2年間で2000億ドル(約22兆円)増やすことを約束したが、新型コロナショックの影響で、達成は難しいとの見方が強まっている。他方で、中国からの輸入頼みの状況に危機感を感じたトランプ政権は、国内への生産回帰を促進することを検討しており、中国に対してさらなる関税の引き上げをちらつかせている。